「ママを取られたみたい…」子連れ再婚のモヤモヤを溜めない習慣
息子から「結婚してほしくなかった」と言われ…
お母さんは、誰かが小さな「モヤモヤ」を持っていると気づいたら、「ちょっと話そうよ」とダイニングテーブルに誘うようになりました。
「急に生活の仕方も環境も大きく変わったのだから、フラストレーションがあって当り前。だったら、ちゃんとここで全部出そうって」
「じいじとばぁばに会いたい。千葉が恋しい」
「純ちゃんは好きだけど、2人の間に入れない感じがする」
「僕だって、ママと2人で寝たいんだけど」
まずは息子の行き場のない感情を、かぞくかいぎを通して拾っていきます。
「最初の頃はやっぱり、妻の取り合いじゃないけど、少なくとも息子にとってはママを取られたという気持ちが強かったみたいですね」
気分の揺らぎが激しいときは「結婚してほしくなかった」と言われたこともあったというお父さん。
そ、それはショックですね……。
「ええ、あのときはさすがにきつかったなぁ」と言いながらも、お父さんは、息子の気持ちを受け止め続けました。
モヤモヤは1人で我慢するものじゃない
たとえ、聞くのが辛いようなことでも、気持ちを出してくれるのはいいことだとお父さんは言います。
「普段はなかなか表に出せない強い感情こそ、ちゃんと出してしまう方がいい。とにかく”テーブルに置く”ことが大事なんです」
確かに、口に出すことができないモヤモヤって、時間が経てば経つほどどす黒く膨らみ、手に負えなくなるものですよね。でも、勇気を出して、えいやっとテーブルに置きさえすれば、それは「みんなの課題」になる。
眺めて触って、どうすればいいかを話し合うためのテーマになります。
親だって悩みがあると子どもに話せる?
「もちろん、”かぞくかいぎ”である以上、親の感情や気持ちも吐き出しますよ」とお母さん。
お父さんは、母子の絆の強さに寂しさや疎外感を覚えていることを、お母さんは、距離が近い分、つい激しくなる息子との衝突を議題にします。
親には親の葛藤がある。それをさらけ出すことで、子どもは「大人だって同じなんだ」と安心し、自分の思いを隠さず打ち明けられるようになります。
その上で、3人で解決策を考えるところまでが柴田家のかぞくかいぎでした。
「次の春休みは、みんなで長めに千葉に帰ろう」
「京都がもっと好きになれるよう、お気に入りの場所を3人で探そう」
「ママと2人で寝たいときは、部屋を交代するからいつでも言っていいよ」
「さっきは言いすぎてごめんね。純ちゃん一緒に走りに行こう」
「議題は、正直なんでもいいんです。話す中で、日常にあるモヤモヤや本音を出せることが大切」とお母さん。
柴田家では、当初からみんなの距離がより近くなるようにと、家族で週末や長期休みにやりたいことや出かける先を話し合うことが多かったそう。そういうときにも、相手の発言の裏にある気持ちを丁寧に聞く。そうすると、ふと本音が見えるようになり、お互いに優しくなれるのだ、と話してくれました。
『子どもから話したくなる「かぞくかいぎ」の秘密』(白夜書房)
多くの家庭の「かぞくかいぎ」を取材し研究してきた著者が、「かぞくかいぎ」を経て変化してきた家族の実例を紹介。うまくいく「かぞくかいぎ」のコツもお伝えします。