子どもにさせていいガマン、わるいガマン
なかなか変わらない子どもに、「どうしてできないの」「いい加減にしなさい!」などと怒鳴ってしまう。
こんな言い方でガマンは身につくのだろうか。子どもを傷つけているだけなんじゃないか。一生懸命になるほど、空回りしているような気持ちになってしまうかもしれません。でも、そんなときこそ、チャンスです。(取材・文:鈴木裕子)
※本稿は、『PHPのびのび子育て』2012年7月号から一部を抜粋し、編集したものです。
和田秀樹(精神科医)
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。「和田秀樹こころと体のクリニック」院長。国際医療福祉大学大学院教授。『だから、これまでの健康・医学常識を疑え!』(WAC)、『だから医者は薬を飲まない』(SBクリエイティブ)など著書多数。
なぜ、ガマンが必要なの?
「ガマンさせるなんてかわいそう」「何でも好きにさせたい」――でもちょっと待ってください。それはお子さんの「これから」のためになりますか?
そもそもガマンって、何?
「ちっともガマンができない」「いつも自分の気持ちを抑えこむ」どっちも心配なのです。
ガマンとは、自分の感情をそのまま出さずに、自分でコントロールして抑えることです。日々の生活の中には、そして世の中にはやりたいと思っているのにやってはいけないこと、逆にやりたくないのにやらなくてはいけないことがたくさんあります。
そのとき、自分の中にき上がる感情をストレートに出していては、この世の中では生きにくい。周囲の人と衝突してばかりで、孤立してしまうでしょう。
ですから、欲望と抑制のバランスをうまくとれるようにならなくてはいけません。それが「ガマン」です。本人の立場に立てば「ストレス」とも言い換えられますが、決して悪いだけのものではなく、とくに子どもの成長にとっては非常に重要な意味を持つものです。