子どもにさせていいガマン、わるいガマン
ガマンが伸ばす3つの力
バランスのとれたガマンは心の栄養。毎日少し意識するだけで大きな変化がやってきます。
1)自立心
「ひとりでできた!」という快感が成長のカギです。
たとえば、赤ちゃんの頃はオムツの始末はお母さんに甘えて任せたまま。ところが、少し成長するとウンチもオシッコもある一定時間ガマンをして、自分でおまるを使ったりトイレに行って用を足せるようになります。
すると、お母さんが「よくできたね!」とほめてくれる。このとき人間は初めて、お母さんに頼らずに自分の力でできたという自立の快感を味わいます。
したがって、その快感をもっと味わいたいからガマンするようになる、ガマンができれば自立の快感をさらに味わえる……というふうに、ガマンと自立は車の両輪なのです。
2)社会性
「こんなことをしたらカッコ悪い」という感覚を持つことからスタート。
あのオモチャがほしいのに買ってもらえない。泣いてダダをこねたいけど周りの人に笑われるから、できない。すごく楽しくてはしゃぎたい気分だけれど、今は電車の中だからそんなことをしたら恥ずかしい…などと考えて、子どもはガマンすることを覚えていきます。
子どもにとって、この「こんなことをしたらカッコ悪い」という感覚が自分を高めたいという欲求につながり、自らガマンする力が育っていくのです。
そんな経験を重ねるうちに人の目を意識するようになり、自分の行動を客観視できるようになる。その積み重ねによって、社会性というものが育っていきます。
3)思いやりの心
相手の気持ちを想像しながら行動できるようになります。
相手の気持ちを読み、理解する力を身につけていくことは、小学校における発達課題のひとつです。集団生活を送る中で、こんなことをしたら相手は怒るだろうな、これを言ったら相手は傷つくな、ということを失敗を重ねながら覚えていく。
そうやって自分の感情をコントロールするうちに相手の立場に立った、思いやりのある行動ができるようになるのです。ただし、子どもの頃から人の気持ちを優先してガマンしすぎるのも問題。
親としては子どもに「この場合は自分の気持ちを優先していいんだよ」というふうに教えていくことも肝心です。