家におもちゃが散乱…発達障害の子が「片づけられない」5つの理由

村田しのぶ

発達障害の特徴の1つである「片付けができない」。どのような声かけをしたら、片付けられる子に変わってくれるでしょうか。長年にわたって特別支援学級の教師を務めてきた村田しのぶさんが、子どもに効果的な片付けの方法を紹介します。

※本稿は、村田しのぶ著『発達障害&グレーゾーンの子どもが「1人でできる子」になる言葉のかけ方・伝え方』(日本実業出版社)から、一部抜粋・編集したものです

村田しのぶ
秦野市就学指導教育支援員、公立小学校特別支援非常勤講師、保育所等訪問支援員、放課後等デイサービスにて児童支援員。
神奈川県綾瀬市、秦野市立小学校の普通学級教諭を15年務める。その際、学級の中に自閉スペクトラム症、場面緘黙症など、さまざまな発達障害の児童がいたことがきっかけで特別支援を要する児童の教育に関心を持ち、その後、特別支援学校教諭の免許を取得し、特別支援学級を25年以上にわたって担当する。

片づけができない、きまりが守れない

先生が「休み時間は終わりですよ。Aさん、早く、本を片づけなさい」と声をかけても、いっこうに片づける気配がなく、先生の語気もだんだん強くなる。最後はあきらめたように、「あなたは片づけができないんだよね」と言って、思わずため息も……。

当の本人は、「遊びたい」という気持ちが強く、遊びを途中でやめられないのです。

周りの空気を読めない、という特徴もあります。

たとえばC男くんの場合、休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴っているのに、教室に戻ってこずにブランコで遊び続けます。先生が迎えに行き、「チャイムが鳴ったから、教室に戻ろうね」とやさしく声をかけても、もっと遊びたいので知らんぷりをします。

やっとブランコから降りてきたと思ったら、今度は先生の制止を振り切って一目散に逃げ出す……これが毎日続きます。

片づけマンに大変身する「魔法の言葉」

片づけができない理由は5つある!

「早く、おもちゃを片づけて! ごはんだからね」と言っても夢中で遊んでいる子ども。そこで、ついつい「何度言ったら、わかるの?」ともっと大きな声で怒鳴る親。

発達障害児に限らず、子どもはどうして片づけができないのでしょうか? それには、ちゃんとした理由があるんです。主な理由は次の5つです。

①どこに片づければいいかわからないから
②もっと遊びたいから
③ほかのことが気になり、片づけを途中で放り出してしまうから
④そもそも片づけが嫌いだから
⑤誰に言われているのかわからないから

5つの理由別に、「魔法の言葉」を使った対策をお教えしましょう。