思春期の男の子への性教育、家庭でどこまですべき?

中野日出美
2024.06.25 15:49 2023.05.17 11:50

ネット情報を鵜吞みにする危険性も

ネット情報を鵜吞みにする10代

性器や体毛の発育、精通、性衝動などに戸惑い、「自分は異常ではないか」と不安やコンプレックスを抱えている……。

そんな男の子たちが頼りにしてしまうのが「ネット情報」です。

しかし、ネットの情報には、往々にして間違っているものや過激なもの、歪んだ性行動を推奨しているものが氾濫しています。

それでは本来、体を使った最たる愛情表現であるセックスの本質を、はき違えてしまうかもしれません。

現代では、ネットやアニメの世界の女の子にしか興味をもてなくなり、実世界の大人の女性とは怖くてつき合えない男性が増えています。

また、母親の過保護や過干渉、愛情過多で育った男性は、精神的、肉体的に大人の男になれず、恋人にも母親の役割を求めるようになります。

その一方、母親から虐待、育児放棄された場合も、女性に対して不信感や憎しみを募らせ、歪んだ性衝動をもつこともあります。

どちらの場合にも、男の子の潜在意識に、「女性は男性にとって対等な愛の対象ではなく、男性本位の欲求を満たすためのもの」という思いを植えつける危険性があります。

そのような意味でも、思春期の男の子と母親との関係性は大切ですし、父親と母親の関係性もまた大きな影響を及ぼします。

男の子の性教育は男親に任せる

お父さんにおまかせ

思春期の男の子に、対等な男女関係や正しい性の知識をもたせることは、とても大切です。

できれば、思春期の男の子の性教育は、父親に任せたいものです。

「お父さんのときはさ……」「お父さんもお前くらいのときには悩んでたよ」などと、自分の体験をさりげなく語りながら、教えてあげるといいでしょう。

もしも、父親があてにできない場合は、信頼できる身近な大人の男性に頼むのでもいいですし、そんな人はいないというときには、男の子の性について書かれた良書を探し、「あなたも中学生だから、そろそろちゃんと勉強しなさい」と言って渡すのも1つの方法です。

たしかに細かな性事情について母親が説明するのは大変ですし、男の子も嫌がるでしょう。

でも、女性としての立場から、恋愛やセックスについて正直に話すのは、とてもいいことです。

「男と女は体も違うし、セックスに対しても考え方がちょっと違うのよねえ」などと、ニュースの事件報道などを見ているときなどに、さりげなく話してみてはどうでしょうか。

中野日出美

中野日出美

NPО法人日本心理コミュニケーション協会代表。公認心理師。心理セラピスト。絵本作家。親子関係の改善を図るセラピーの専門家。

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