発達支援のプロの「子どもの癇癪を未然に防ぐコツ」

熊仁美、竹内弓乃

大人の手助けを聞く余裕のない時は…

いかがでしょうか? 次に、伝える手段を練習する時は、ここでは「予習」段階を入れましたが、いきなりSTEP3の実際場面で教えることもできます。

ただ、実際の場面ではお子さんも気持ちが昂っていますから、落ち着いて大人の手助けを聞き入れる余裕がないかもしれません。

そんな時は、やはりSTEP2のように落ち着いた場面で、具体的な行動だけを切り出して練習するのがオススメです。この予習をはさむことで、実際場面で大人のうながしがあった時、「あっ、あの行動をすればいいのか!」とお子さんがピンときやすくなるのです。

ネクストステップ

他にも、お子さんが気持ちをうまく伝えられず癇癪やパニックになる場面は様々あります。中には、大人がいくら工夫しても叶えてあげられない要求や、解決してあげられない苛立ちもあるでしょう。

お子さん自身も、一度癇癪やパニックになってしまうと、どうしてよいかわからなくなっています。また、年齢が上がってくると、癇癪になった後、自分でクールダウンするスキルも学べるとよいでしょう。

お茶を飲むとよいとか、自室のベッドで布団にくるまるとよいとか、好きな音楽を聞いて落ち着くとか、お子さんご自身が自分のクールダウンの方法を少しずつ獲得できると、長く役立つスキルにもなります。

ものを投げたり、癇癪を起こしたり、パニックになって周囲に攻撃するなど、いくら幼いお子さんとはいえ、1人の大人だけでは対応しきれないほど、激しい行動もあります。

また、ものを投げないように片づけようにも「家中すべてのものがいたずらの対象で難しいです」とお悩みの保護者の方もいらっしゃいました。このような場合は、ご家族だけで対処しようとせず、療育機関や医療機関にも積極的につながってください。

また、このような激しい行動にたびたび直面すると、家族の負担感はとても大きく、悪循環に陥ってしまいます。ご家族自身がほっと一息ついたり、自分の時間をもつことも、どうか大切にしてください。

「できる」が増える!「困った行動」が減る! 発達障害の子への言葉かけ事典(大和出版
ABA(応用行動分析学)とは、行動の原因を「個人の心の中」ではなく、「個人と環境との関わり」から分析し解決していく心理学です。この考えを取り入れることで、お子さんのよい行動を引き出し、増やす、よい循環が自然と生まれます。本書ではこのABAをもとに、様々な声かけやアイデアをご紹介します。