「お母さん、足が動かない…」息子の異変に母が下した不登校の決断
学校外で親子カウンセリングを受けた
息子は自分の中で「学校に行きたくない」という気持ちと、「先生や親の期待に応えなければいけない」という2つの両極の気持ちを抱え、にっちもさっちもいかなくなって、電池が切れたように体が動かなくなったのです。
やっと尋常ならざる事態に気づき、私はもっと息子と真剣に向き合わなければならないと考えざるを得ませんでした。
家に帰って息子に、「今日は休んでいいよ」と伝えると、息子は心底ホッとした顔をしました。その様子を見て、私の決意はさらに固いものとなりました。
私は母親として、「今学期は学校を休ませ休養させる」という決断を下したのです。自分の体もコントロールできなくなるまで追い詰められている子どもに対して、どうしてこれ以上無理強いすることができるでしょうか。
後日、改めて学校に行って、息子の状況や今学期中は休ませる旨を伝えました。「もう、誰がなんと言おうと私が息子を守るのだ」と決めた瞬間でもあります。
長期欠席を決断してからは「今までの私の行動は間違いだった」と、目が覚めたようにはっきりと自覚しました。
そこで、「登校させなければならない」という学校に対抗するには、一保護者の言葉では説得できないと思った私は、専門家の力を借りることにしたのです。
私は以前から、息子にカウンセリングを受けさせたいと思い、小学校とのやりとりと並行して、都立の総合病院の心療内科を予約していました。
しかし、予約だけで半年待ちの心療内科で、ある手順が必要でした。まずは体の異常がないかどうか他の科で腸内検査をして、その科からの紹介でやっと念願である心療内科の予約にこぎつけたのです。
担当してくださった心療内科の医師は、私の話をひと通り聞くと「確かにまずは息子さんの心を休ませることが第一」と同意してくれ、小学校に出すための診断書も書いてくれました。
そして、しばらくは学校のことを思い出させないように、学校関連のことから一切遮断するようにと、小学校に連絡してくれたのです。
しかし、医師の判断は今思うと、私への配慮もあったのかもしれません。専門家の診断書と口添えはいかんなく効力を発揮し、学校からの登校を促す連絡はピタリとなくなりました。
担任の先生と電話で連絡するときは、息子が自室にいるときなど息子のいない場所で行いました。その後息子が学校に行ったのは、東京都の模擬試験を別室で受けさせてもらったときと、進路相談の三者面談に行ったときくらいです。
無理に学校へ行かせなくていい 〜不登校を脱出した息子と私の記録〜(ICE(インプレス))
本書は小学校5年生から中学校3年生まで不登校だった息子が、そしてその母親が、親子二人三脚で不登校を”脱出”するまでの軌跡を描いています。子どもの不登校に悩むすべてのご家庭に役立つ考え方のいろはが詰まった一冊です。