発達障害の子どもが「ゲームに負けるとキレる」2つの原因
支援のポイント 3つの箱に整理しよう
1.「負けたほうが得がある」という逆転の発想で始めよう
この課題は、「勝つこと」に固定化してしまった価値観を、少しずつゆるめていくイメージです。最初は、逆転の発想で、「負けたほうがびっくりするほどいいことがある!」という状況をつくり出していきましょう。
勝ちへのこだわりや、負けへの拒否感がゆるんできたら、徐々に「勝ち」にいいことがある場合もあるし、「負け」にいいことがある場合もある、というルールをおり交ぜ、境界線を曖昧にしていきます。
2. 負けてもそこまで負担がない場面を探そう
負けると大きなパニックや癇癪を起こしてしまう場面からいきなり練習をしてしまうと、お子さんへ負担をかけてしまいますし、余計に癇癪やパニックを増やしてしまう結果にもなりかねません。まずは、練習を始めやすい負荷の低い場面を探してみましょう。
3.「負け方」のお手本をしっかり示そう
「負け」をぐっと耐えられるようになるだけではなく、負けた時にどうふるまうか、を行動レベルでわかりやすく教えてあげましょう。そのためには、大人が積極的にモデルを示してあげる必要があります。また負けの後にたくさんよいことが起こるよう工夫してあげましょう。
スモールステップでやってみよう!
STEP1「負けたほうがいいことがあった!」を見てみよう
まずはお子さんに、「負け」の観察をしてもらいましょう。
「今日は負けた人が賞品をもらえるんだって!」と説明し、お子さんの前で簡単なゲームをやって見せ、その様子を見てもらいます。
たとえば、両親で、「うー今日は負けたいなぁ!」と言いながらジャンケンをし、負けた人は「やったー、負けてもへいき~!」と言いながらお菓子をゲットします。
負けたらよいことがあった、という経験を目の前で見せてあげることで、「負け」と嫌な出来事の結びつきを少しずつゆるめてあげましょう。
この時点では、本人は見ているだけで、褒めるのもポイントです。
「えらい、よく見てるねー!」と褒めながら賞品を分けてあげましょう。
次に、簡単なロールプレイで負ける疑似練習をし、「負けるが勝ち!」というキーワードを言えたら賞品がもらえるルールのゲームをしましょう。
ロールプレイで実施するのは、目の前のタオルをかごに投げ入れたら勝ち、手の中にお菓子を隠して、どっちかあてられたら勝ち、など、”ちょっとしたゲーム”がよいです。あまり本人になじみがなく、勝ち負けが固定化していないものがよいでしょう。
「負けた時に上手に、『負けても平気!』て言えた人が勝ちね!」と伝えます。先に大人が負けて『うー、くやしい。でも負けても平気―!』と言ってポイントやお菓子をゲットする様子を見せます。
逆に、「負けちゃった! やだやだ!」とかるい癇癪を起こす様子も見せます。その際は、「はっ!! 今のは負けても平気がうまくできなかったから、ポイントもお菓子ももらえないな、残念……」とおおげさに落ち込みます。その後、お子さんにも負けてもらい、交互に取り組んでみましょう。