思春期の女子に増える「自分は頭が悪い」という思い込み
「自分の成績が悪いのは頭が悪いせい」「努力してもムダ」といった言葉を、子どもから聞いたことはありませんか? 果たして本人の言う通りなのでしょうか。
心理セラピストの中野日出美さんが、「勉強ができない子」の、本当の理由を解説します。
※本稿は中野日出美著『口に出せない気持ちをわかってほしい 思春期の女の子が親に求めていること』(大和出版 )から一部抜粋・編集したものです。
中野日出美(なかの・ひでみ)
一般社団法人 親と子の心理コミュニケーション協会代表理事。日本心理学会認定心理士。心理セラピスト。絵本作家。親子関係の改善を図るセラピーの専門家。
学習障害で苦労した著者の幼少期
私は小学2年生のときに、どんなに頑張っても読めない、書けない、ひらがなやカタカナがあり、担任の先生や親にずいぶん心配をかけました。
今ならば、おそらく学習障害という発達障害のうちの1つだと、教師も親も察しがついたことだと思いますが、当時はそんな知識をもっている大人はほとんどいませんでした。
毎日、帰宅後、勉強机の横に貼ってある「あいうえお表」の前にペタンと座り込み、何とか字を覚えようとして、にらみつけていた自分を思い出します。
その当時、私は子ども心に「私はみんなが言うように、きっとバカなんだな。だから字を覚えられないんだな」と思っていました。
その後、私は何とか学習障害を克服し、大学、大学院にまで進む人生を歩むことができました。
なぜ、私は学習障害を克服できたのでしょう?
それは、親だけは私を白い目で見ることなく、根気よく、私が理解できる方法で字の読み分け方を教えてくれたからです。
「自分はバカだ」と思う子の潜在意識
勉強に苦手意識があり、「自分はバカだ、頭が悪い」と思い込んでいる子どもはたくさんいます。とくに、女の子がそう思いやすいようです。
そのような女の子の潜在意識には、もしかすると「自分はどこかおかしいのかもしれない」「自分は劣っている」「女の子は勉強があまりできなくてもしかたない」「『頭が悪いのだからしかたない』と思ってくれたほうが楽だ」などという思いが隠れているかもしれません。
しかし、何かの障害や病気でないかぎり、頭が悪いから勉強ができないということはありません。
成績が悪いのは、頭が悪いのではなく、成績が上がるような勉強をしていないからです。
また、勉強にしても、できないのではなく、していないだけです。
それなのに、「自分は頭が悪いから」と思い込んでしまうのは、とても悲しいことです。
そして、その思い込みのせいで、さらに勉強をしなくなり、成績が悪くなる。すると、さらに自信がなくなる……。
これでは、まさに悪循環ですよね。