子どもの高校入試を失敗させる「親のNG行動」とは?

國立拓治
2023.05.10 20:03 2023.06.12 06:00

学生

高校入試を控えている子どもに、ついつい口を出してしまう親御さんは多いはず。しかし國立拓治さんは、親は何も言わず、まずは見守ることが大切と語ります。親がやりがちなNG行動をご紹介します。

※本稿は國立拓治第一志望合格率90.4% 〔くにたて式〕高校入試勉強法』(大和出版)から一部抜粋・編集したものです。

國立拓治(株式会社さくらクリエイト代表取締役)
1974年愛知県春日井市生まれ。大学卒業後、大手学習塾に勤めた後、2005年に「さくら個別指導学院」を開校。2019年より公益社団法人全国学習塾協会の理事も務める。

わが子との理想の距離感は「目を離さず手を出さず」

息子を見つめる母親

耳が痛いことを言うようですが、「子どもの学力の成長を妨げている原因が、じつは保護者のかかわり方にあった」ということはザラにあります。

わが子のことが心配だからこそ、親が出すぎてしまうことがあるのですね。そして、この加減は口臭や体臭と同じで、なかなか自覚しづらい部分でもあります。わが子との今後のかかわり具合の参考にしてもらえたら幸いです。

まずはタイトルのとおり、わが子との「理想の距離感」について見ていきましょう。

私は、これまでの生徒家族を見てきて、「目を離さず手を出さず」という距離感でわが子とかかわってもらうことが一番よさそうだと感じています。そもそも中学生の時期というのは、ちょうど子どもと大人の過渡期なので、過度な子ども扱いも大人扱いも間違いだと思っています。

たとえば、塾の最初の面談時に、子どもを差し置いて保護者がすべて喋ってしまうような家庭がありますが、これは明らかに「保護者が出すぎ」です。よかれと思って、子どもの先回りをして保護者が何でもやってしまっているのですね。しかし、そんな振る舞いは子どもの自主性を消してしまうだけ。

勉強に悩む

その一方で、「すべて子どもに任せています」と言って1から10まで子どもに丸投げしているパターンもあります。これはキツイ表現を使うならば、「耳障りのいいセリフを盾にして、子育てを放棄しているだけではないか」と私は感じています。

その子の精神的な成長具合も踏まえながら、その子に合った適度な対応が必要だと思うのです。

難しいことを言うようですが、たとえるならば「服屋の感じのいい店員さん」の振る舞いの真似をしておけば大丈夫です。なぜなら、服屋の感じのいい店員さんがまさしく「目を離さず手を出さず」という振る舞いでいるからです。

服屋の感じのいい店員さんは、ほどよい距離感でお客を見守ってくれています。「ご試着できますので、いつでもおっしゃってくださいね」というセリフには「あなたのことを気にかけていますからね」という意味がこめられています。

さり気ない素振りで少し離れたところで服を畳みながら、神経はお客のほうに注がれているという具合ですね。そこで聞きたいことがあれば、お客も店員さんに話しかけるでしょう。

店員さんはどこまでもお客の希望に沿うように「目を離さず手を出さず」近くで見守っているのです。これです。これでいきましょう。

子どもが効率の悪い勉強をしていたり、いつまでも勉強に取り組まなかったりなど、目に余ることはたくさんあるかと思いますが、とりあえず期日どおりに課題をこなしているうちは見守ってあげてください。

遠くをながめる高校生

中学生はもう半分大人なので、強権を発動してコントロールするような対応は、その場では効いたとしても長続きしません。いざ定期テストが返ってきて結果が悪く落ち込んでいるようなときに、満を持して改善の相談に乗ってあげるといいと思います。

ついつい子どもに口を出すこともあるでしょうし、「うちの子、声をかけないと、いつまでたっても勉強しません!」と思うこともあるでしょうが、まずは「目を離さず手を出さず」を実践してみてください。

ちなみにこの取り組みがうまくいっているかどうかを判断する目安にしてほしいのは、「テスト結果を隠すことなく即座に見せてくれるかどうか」という部分です。

親の学習サポートが良好であれば、子どもは信頼してどんな結果も即見せてくれます。親が子どもを大事に思うあまり、過度な期待をかけて負担を与えている場合は、子どもはテスト結果を隠したり、素直に見せなくなるものです。

目を離さず手を出さず、即座にテスト結果を見せてくれる関係を目指してください。