子どものおやつ時に注意! 親が知って起きたい「血糖値スパイク」

今野裕之、吉澤恵理

少子化の進む日本で幼児教育の市場が拡大しています。2021年度の保育・幼児教育の市場規模は4兆円を超えるという調査結果もあり、その過熱ぶりが伺えます。

幼児教育には様々なメソッドがあり、『天才を育てる』『頭のいい子を育てる』と題した高額な幼児教室に足しげく通うご家庭も少なくありません。もちろん、そういった幼児教育がお子様の能力を引き出す可能性もあるでしょう。

一方で4人の子どもを育てた私の経験から、子どもの能力を引き出すためには、それ以前にもっと大事なことがあると実感しています。それは『食事』です。

前編に引き続き、後半では食事と脳の関連について実際の食事内容なども含めて、2人のお子様の父でもある精神科医の今野裕之先生にお話を伺っていきます。

栄養のバランスが取れた食事とは

医師の今野裕之さん

【吉澤】私はシングルマザーということで、経済的にも節約を考えたメニューが中心でした。子どもたちが幼い頃は、豚や鶏肉が中心で、育ち盛りの子どもたちのお腹を満たすことを考えて野菜をたくさん入れて量ましして食事を作っていました。

【今野】具体的にはどう言ったメニューでしたか? 1日のメニューは?

【吉澤】朝は、納豆、卵焼き、野菜スープに栄養機能食品に分類されるミロを牛乳で作ったものか、ココア、ミルクティーが定番でした。

成長に伴い、パン食を食べる日もありましたが、小学生の間は、お米が主でした。朝に限りませんが効率よく野菜などが取れるようにスープや味噌汁はメニューに入れることが多かったですね。

昼は、学校での給食で。休みの日は、レタス、きゅうり、トマト、アボガドなどの野菜や鶏肉やツナ、卵などの具材をテーブルに用意して、子どもたちが自分でサンドイッチを作ったり、お好み焼きやホットケーキをテーブルで一緒に作ったり、体験する食事が多かったです。

夜は、季節を問わず、白菜、キノコ類、根野菜、豚肉などを入れた鍋やしゃぶしゃぶをよくやりました。料理の時短にもなり、かつ、栄養も取れるので、いまだに家族が集まるとしゃぶしゃぶをします。

【今野】栄養のバランスが取れていそうな食事で好感が持てます。特に、脳の働きを良くするために必要なタンパク質が豊富な卵や豆、ビタミン類と食物繊維が豊富な野菜を毎食欠かさず食べている点が素晴らしいです。

子どもにおやつをあげる際の注意点

【今野】おやつなどはどういったものを食べていましたか?

【吉澤】小学校の時は、学校から帰宅するとお腹を空かせているので、おやつは、おにぎりなどしっかりとお腹にたまるものをおやつにしていました。子育ての経験から空腹が続くと子どもは、精神的に良くないと感じていましたので、腹持ちが良いおやつが主でした。

もちろん食事よりは量が少なく、小さめのおにぎりを1−2個という感じでした。母子家庭で経済的に余裕がなかったことも理由の1つですが、それが幸いして洋菓子やケーキ、ファーストフードなど食べることは少なかったですね。

それから、旬の果物を取り入れることを心がけていました。旬の果物を知ることで知識を深めると共に、その季節に必要なビタミンなどの栄養素が取れるのかなと思い、今も果物を食べる習慣がついているようです。

【今野】おやつの際には血糖値が急激に上昇、その後、急激に下降するする、いわゆる血糖値スパイクを起こさないようにすることが重要です。血糖値が乱れると、精神的にも不安定になりやすくなります。

その点、果物をおやつに出すのは大変良いですね。果物にもショ糖や果糖が含まれていますが、食物繊維も豊富であり、お菓子に比べると血糖値の上昇は緩やかです。ビタミンやポリフェノールなど、体に良い栄養素も取り入れることができます。

【吉澤】血糖値スパイクは、大人にとっても糖尿病のリスクやキレやすい精神状態を作ると言われています。タンパク質、ビタミン、ミネラルがしっかりと取れるような食事は、子どもの脳を育て、親子で健康になれる秘訣とも言えますね。