出産したら50万円支給? 子どもを産むのに「必要なお金」と「もらえるお金」

坂本綾子
2023.10.11 12:55 2023.06.22 06:00

眠る赤ちゃん

妊娠がわかったとき、うれしさ一方で様々な不安もよぎります。 自分の身体のこと、子どもの成長のことはもちろんですが、子どもを育てる上でどれくらいのお金が必要なのか、支援がどれくらいあるのかは気になってしまうところです。

妊娠がわかったら、出産までにかかるお金、かけなくてもかけてもよいお金、取得できる手当についてなど、確認しておくと不安がやわらぐはずです。

※本稿は、『子どもにかかるお金の超基本』(河出書房新社)より一部抜粋・編集したものです
※本記事で紹介されている内容は2023年5月現在の情報に基づいたものです。各制度等は状況により変更される可能性もあります

坂本綾子(さかもと・あやこ)
ファイナンシャルプランナー。1988年よりマネー誌、女性誌にて家計管理や試算運用の取材記事を執筆。1000人以上に取材。99年ファイナンシャルプランナー資格取得。2010年ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所設立。現在は、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナー講師なども行う。著書に、『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版)、『「投資をしたことがないけれど、このままで本当に大丈夫?」と思ったら読む 絶対に損をしないお金の増やし方』(CCCメディアハウス)などがある。

新しい命は社会にとっても財産。公的支援を活用しよう

妊娠・出産は病気ではないので、健康保険は使えません。健診や出産の費用は全額を自己負担します。ただし、かなりの部分を公的支援で補うことができ、会社員か、専業主婦か、個人事業主かなど、立場により受けられる支援が違います。

公的支援を受けるには、住んでいる自治体に妊娠を届け出ます。「母子健康手帳」が交付され、妊婦健診の補助券などを受け取れます。 子育てを社会全体で支える仕組みが整えられつつありますから、しっかり活用したいですね。

マタニティウェアなど自分で払う分をしっかり管理

妊娠中は定期的に健診を受けます。1回あたり数千円程度。自治体によりますが、補助券で一定額まで支援するパターンが多いようです。超える分があれば自己負担になります。意外とかかる通院の交通費も計算しておきましょう。マタニティウェアは外出の多い人ほど複数枚必要になるものの着用期間は短いですね。購入するとそれなりの費用がかかるので、友人に譲ってもらう、出産後には授乳服として着られるタイプを選ぶなど工夫を。安産のためのマタニティスイミングなどはスクールに通うなら月数千円程度です。

妊娠中に、もし病気になったら、その治療には健康保険が使えます。

治療費が高額になった場合は、医療費控除や高額療養費制度により、お金が戻るケースもあるので、確認しましょう。

妊娠がわかってから出産直前にまで必要なお金

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新品? 中古? レンタル? 総額の予算を決めて、やりくり

妊娠が安定期に入ったら、出産後に使うものの準備を始めます。ベビー用品だけでなく、お母さんが体形を戻すための補正下着なども予算に組み入れておきましょう。全部を新品で揃えると10万円前後かかるでしょう。

直接肌に触れるから新品にしたい、中古でも気にならない、こういった感覚は人それぞれ。合計でいくらまでと予算を決めて、その範囲でメリハリをつけて選択を。利用期間が短く、保管に場所を取るベビーベッドは、費用も安くすむレンタルを選ぶ人が多いようです。ベビー用品は 様々なものがレンタルできます。

まずは必要最小限にして、出産後の状況を見ながら足していくのが無駄使いをしないコツ。ただし、新生児の世話は大変なので、出産前に情報収集して、どこで買うのか、借りるのか候補を決めておきます。

親しい間柄で出産祝いをもらえそうな人には、欲しいものを事前に伝えて協力してもらいましょう。
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妊娠・出産時の家計管理

準備の費用は20万円までの人が多いようです(下図)。これに妊婦健診の自己負担分や交通費、出産時の入院費用(次ページ参照)などを合わせると数十万円になるケースも。貯蓄残高をもとに、上限を決めて使うのがポイントです。ざっくりでいいので、使ったお金、もらったお金を記録しておきましょう。妊娠すると、新しい支出が増えます。これを機に家計管理を始めましょう。
出産準備品の購入総額はいくら?

平均は46万円。施設や地域により差があります!

子どもをどこで産むか、出産時の緊急事態に備えて総合病院がいい、自宅から近い産科専門医院がいい、家庭的な助産所がいい……。

大きく分けると、公立病院、私立病院、診療所(医院) があり、施設により出産費用は異なります。私立病院は、公立より高めです。地域によっても異なり、公立病院の場合、
東京都は約54万円、沖縄県は約34万円と20万円もの差。全施設の全国平均は約46万円です。
施設による出産費用

妊婦健診を受けて経過がわかっている施設で産むのが一般的です。出産を前提に施設を選びます。里帰り出産なら、早めに出産する病院を決めて予約しましょう。

出産育児一時金を出産費用にあてる

手続きをすれば、健康保険から50万円(令和5年4月1日以降の出産から)の出産育児一時金をもらえるので、これをあてられます。実際にかかったのが50万円以下でも50万円もらえます。50万円以上なら超えた分が自己負担に。

食事が豪華、個室を選べる、家族も一緒に泊まれるなど特徴のあるサービスを提供するため費用が高い産院もあります。出産費用が高い施設や地域だと自己負担が増えます。
正常分娩ではない場合、例えば帝王切開での出産なら、健康保険の対象となります。入院時にタクシーを使うケースもあるでしょう。

出産費用の中には医療費控除の対象になるものがあるので、領収書やレシートは全部取っておき、領収書のない交通費は家計簿にメモを。

イラスト作成:松岡未来(ヤング荘)(『子どもにかかるお金の超基本』本文より)

子どもにかかるお金の超基本

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