子どもの脳の組織に影響も…「11歳までの子を罰しても無意味」な理由
アドバイス「子どもたちの問題行動を変えるには?」
子どもが成長し、考え、学ぶために、あるいは問題行動を変えるには、心が満たされることと、たっぷりのエネルギーが必要だと理解しましょう。
ストレスの悪循環(攻撃性、罰、愛情の放棄、ストレス…)を断ち切るために、子どもの愛情のタンクをいっぱいにしてあげてください。ほほえみ合い、一緒に遊んで笑い合うことが大切。
わが子の要求に応え、気持ちに耳を傾け、そばにいてふれ合って、1日に10分から20分は本気で向かい合うこと。そうすることで親も子どもから栄養をもらえるのです!
罰を与えることは効果がないうえに悪影響
私たち親は、子どもを大人と同じような存在だと思っていますが、まだ彼らの脳は大人と同じではありません。科学者が念入りに行った実験で、子どもの脳が失敗から学べるようになるのは、12~13歳以降だということがわかっています。
もし罰に教育効果があるなら、とっくの昔に人類は犯罪をおかさなくなっているでしょう。実際、罰は全く効果がないわけではありません。むしろ、大変効果があります。
──罰することによって、事態をコントロールできると感じる人々にとっては。
そうはいっても、これだけ不適切であることがわかっている罰がいまだに用いられている理由を見つけるのは困難です。
長期的に見て、罰は効果がないことに加えて、想定外の効果を生み出すことさえあります。特に男の子にとっては受けた罰が自慢になるのです。罰を受けることが人気をもたらし、タフなやつ、ということで他の男の子だけでなく、女の子にも一目置かれるようになるからです。
罰は子どもの態度を変えるのに効果がないだけでなく、むしろ逆効果となります。親はもともと威厳を持った存在なので、あえて権威を振りかざす必要はありません。私たちは子どもに反撃しようとしてかなりの時間を使ってしまいますが、それでは毎日ケンカになって、親子の絆に断絶が生じるだけです。愛着の観点から状況を見るようにしましょう。
アドバイス「イライラが抑えられないときには?」
罰を与えたくなるほどいらだった時は深呼吸です! 罰を与えても子どもの態度が改善されないことを思い出してください。もっと良い選択肢がないか考えるために、とにかく落ち着くこと。
私たち親は子どもの愛着の対象であり、子どもは親を、自分がどう振る舞うかのお手本にしています。そのため子どもは、絶えず親の反応を見ているのです。このやり方でいい? ぼくは安全? わたしはそこへ行っていい? ママはうれしい? ぼくにできるかな? わたしを信じてくれる? などと問いかけながら。
子どもは親の言うことを聞いていないように見えても、よく観察していて、それを参考に自分の倫理観を構築しています。もちろん、結果が見えてくるのはずっとあとになってからですが。どんな事態においても愛着を何より大事にして、親の価値観をはっきりと示しながら、子どものお手本になりましょう。
『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)
6歳から11歳の時期は、幼児期と思春期の間にあって自律性を形成して行く時期、「自信がない」「嘘をつく」「怒りっぽい」「おねしょ」「偏食」「友達ができない」などの問題がよく見られます。大きくなったようでいて、まだ幼いところが残ります。最新の神経生物学や生理学に基づき、子どもの話しを聞くこと・同調することに焦点を当て、子どもの行動の裏にある動機を分析してする手法を提案します。