悪意なくウザイ!と言ってしまう子どもたち…SNSがいじめに与える影響

石井光太・小川晶子
2023.08.21 15:33 2023.07.25 11:50

SNS言葉と闇バイト

石井光太・小川晶子

小川:『ルポ 誰が国語力を殺すのか』の中に、闇バイトで特殊詐欺に加担してしまった高校一年生の少女の例がありました。

「お金ない。良い仕事ないかな」とSNSに書き込み、見知らぬ男性から1回25万円の仕事があるというコメントがつき、すぐに飛びついたと。SNSでの短文コミュニケーションが中心の生活をしていると、「おかしいな」と思えなくなるのでしょうか。

石井:普通はおかしいと気づくだろうと言いたくなりますよね。でも、それはぼくたちがSNS以外の言語空間を知っているからです。背景にあるものを想像できるし、「これをするとどうなるか?」と考えることもできます。

小川:最近の強盗事件などにしても、あまりにも短絡的で浅はかに感じるのですが、SNSの言語空間が母語になってしまっているのかもしれませんね。親との会話もあまりなく、学校が終わったらすぐに帰宅してSNSばかり見ている子であれば、リスクもわからずに、「1回25万円の仕事」「やります」「いつ、どこに行け」「了解」といった単純なやりとりが成立してしまうのも想像できます。

周りの大人たちは、ある程度複雑で豊かな言語空間を作ってあげる意識が必要でしょうね。

石井光太・小川晶子

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