大声で子どもを叱り、物にもあたる…イライラ育児の母を号泣させた「長男の告白」

野村恵里
2023.11.28 12:20 2023.07.26 11:50

うつむく男の子

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野村恵里さんは子育てと仕事に追われる日々で、ついお子さんに怒りをぶつけてしまっていたと語ります。子どもへの罪悪感にも苦しみ、「もうダメだ!」と限界を悟るほどに…。しかし、そんな時に「アンガーマネジメント」と出会ったことで、怒ってばかりの子育てが一変したそう。

本稿では、野村さんが子育てに苦戦していた日々、そしてアンガーマネジメントとの出会いについて語ります。

※本稿は野村恵里著とっさの怒りに負けない!子育て』(すばる舎)から一部抜粋・編集したものです。

野村恵里(感情保育学研修所代表)
日本アンガーマネジメント協会アンガーマネジメントコンサルタント(R)。社会福祉法人旭川荘厚生専門学院児童福祉学科特任講師。
保育士として20年勤務。二人の息子へのイライラで爆発寸前の時にアンガーマネジメントに出会う。適切に怒る方法や、子どもに響く伝え方を会得したことで、子どもとの関係も良好になり、子育てが一気にラクになることを実感する。2014年から保育者養成校で勤務する傍ら、アンガーマネジメントの伝え手として各地で保育・教育・子育て現場で講演活動を行っている。実感のこもった、当事者目線の情熱的な講演は人気を博している。

「もうダメかも」と思ったときの運命の出会い

母親と男の子

私には、男の子が2人いるのですが、当時、私の怒りの一番の被害者は長男でした。小学3年生の頃まで、あまり公には言えないような怒り方をしていたんです。

「しつこい!」「泣いてもダメなものはダメ!」と突き放したような怒り方をしていて、今、思い出しても胸が苦しくなります。当時の私は、ちょっとでもイライラすると止まらず、声を荒げることも日常茶飯事だったんです。

毎日、ガミガミ怒っているうちに、もともと明るい性格だった長男が元気をなくしました。8歳のときです。

「母ちゃん、遊んでもいい?」
「母ちゃん、テレビ見てもいい?」
「母ちゃん、お菓子、食べてもいい?」

と1から10まで私に聞かなければ行動できなくなってしまったのです。

一方、4歳の次男は、私の怒りに反応して、ふてる、すねる、癇癪を起こすのオンパレードです。さんざん怒りつけた夜、子どもの寝顔を見て「怒りすぎたかも、ごめんね」と懺悔する日々を送っていました。

「もうイヤ! このままでは、ダメになる!」そう思っていた矢先に出会ったのが、アンガーマネジメントでした。

怒りの気持ちを適切にコントロールするスキルだと知り、「超短気な私には、無理かもしれない」「でも、もしかしたら、何かが変わるかも!」そう思って、藁をもつかむ思いで飛びついたのが10年前です。

これが大当たりでした。どうしようもないほど辛い日々から、救われたのです。

長男の告白に涙が出た

高校生の男子

アンガーマネジメントに出会ってから、とにかくできることを一つ一つやっていきました。すると、1週間、2週間経つうちに、変化を感じ始めました。

以前なら、「こらー!!」と怒りつける場面で、〈一呼吸おける〉ようになったのです。次第に、〈伝えたいメッセージを〉子どもにわかるように〈伝えられる〉ようになっていきました。

長男が中学生になった頃、こう言いました。

「母ちゃんが、アンガーマネジメントをやってくれてよかった。俺、めちゃめちゃしんどかったから」と。

もうね、申し訳なくて涙がボロボロこぼれてしまいました。私だけじゃなくて、息子もアンガーマネジメントに救われてたんだな、と感じた瞬間でした。

現在、長男は大学1年、次男は中学3年になりました。思春期まっさかりですが、「あー、子どもってかわいいな」と、心から笑える母ちゃんをしています。

10年前、「私には無理」と決めつけて諦めていたら、こんな幸せな今はなかっただろうなぁと思います。