本当は怒りたくないのに…専門家が語る「子どもへのイライラ」解消法

野村恵里

子どものワガママや、癇癪にどうしてもイライラしてしまう…多くの親御さんがこんな悩みを抱えています。ついキツく叱って、自己嫌悪に陥ることも。イライラを抑えられない時はどうすれば良いのでしょうか。アンガーマネジメントコンサルタントである、野村恵里さんが、反射的に子どもを叱らないための「感情の落ち着け方」について語ります。

※本稿は野村恵里著とっさの怒りに負けない!子育て』(すばる舎)から一部抜粋・編集したものです。

野村恵里(感情保育学研修所代表)
日本アンガーマネジメント協会アンガーマネジメントコンサルタント(R)。社会福祉法人旭川荘厚生専門学院児童福祉学科特任講師。
保育士として20年勤務。二人の息子へのイライラで爆発寸前の時にアンガーマネジメントに出会う。適切に怒る方法や、子どもに響く伝え方を会得したことで、子どもとの関係も良好になり、子育てが一気にラクになることを実感する。2014年から保育者養成校で勤務する傍ら、アンガーマネジメントの伝え手として各地で保育・教育・子育て現場で講演活動を行っている。実感のこもった、当事者目線の情熱的な講演は人気を博している。

イラッとしたら「呼吸法」と「胸トントン」

恥を覚悟で言うと、長男が2~3歳の頃、自分の我を通そうと泣いて怒っている彼に

「しつこい!」
「泣いてもダメなものはダメ!」

と突き放したような怒り方をしていました。忙しくて感情をコントロールしにくいときに限って、余計にグズグズ言ったり泣き始めたりしちゃうんです。

私のイライラメーターがますます爆上がりして、大声で怒るという始末…。最悪です。収拾がつかず私も長男も撃沈…。「イライラ&疲れ」上乗せの状態です。怒りに怒りを乗っけてしまうと、互いの怒りエネルギーのぶつかり合いで大炎上です。

子どもの「怒り」への対処法のコツは「子どもの怒りに乗っからない」こと。

ママの怒りに反応して子どもはギャーギャー泣き始めるか、はたまた、言うことを聞いたとしても、その子の心の中は大火傷していることでしょう。

もちろん、ママはママで、ヒートアップして考えなしに怒りのバズーカーをぶっ放してしまうと、その衝撃は「後悔」という形で自分にも返ってきます。ね、良いことなしでしょ?

だから、子どもが怒っているとき、イライラしているとき、グズグズ言っているとき、私たちはどんなに自分がイラッとしても、反射的に怒りの感情に乗っからないことが大切です。

そのためには、「衝動のコントロール」が必要です。

・呼吸リラクゼーションテクニックを使う

呼吸リラクゼーションのテクニックを使って一呼吸置くといいですね。ゆっくり鼻から息を吸って、ほんの少し息を止めてから「ふーぅぅぅー」と、口から息を吐き切ります。それを2~3回繰り返しましょう。

カーッとなって熱くなった頭と、グーッと力が入った体にゆっくりと酸素を送り込んであげると、全身に酸素がいきわたりリラックスできます。呼吸を整え、ゆっくり話し始めることで自分の怒りも子どもの怒りもヒートアップさせずにすみます。