SAPIXが見た「中学受験の国語を伸ばす」ために重要な親の態度

佐藤智
2023.09.15 16:44 2023.08.07 11:50

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国語ができるということは、単に国語のテストが解けるようになるだけではありません。今回は読書感想文に焦点を当てて、国語の勉強を通じて培われる、大人になっても重要な能力や資質などを詳しく説明します。

※本稿は、佐藤智著『10万人以上を指導した 中学受験塾 SAPIXだから知っている 頭のいい子が家でやっていること』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

佐藤智(教育ライター)
両親ともに教員という家庭に育ち、教育の道を志す。横浜国立大学大学院教育学研究科修了。中学校・高校の教員免許を取得。出版社勤務を経て、ベネッセコーポレーション教育研究開発センターにて、学校情報を収集しながら教育情報誌の制作を行う。その後、独立し、ライティングや編集業務を担う株式会社レゾンクリエイト(http://raisoncreate.co.jp)を設立。全国約1000人の教員へのヒアリング経験をもとに、現在は教育現場の情報をわかりやすく伝える教育ライターとして活動中。

SAPIX小学部
1989年の創立以来、論理的な思考力と表現力、知識にとらわれない豊かな感性、そして主体的に学ぶ姿勢の育成を教育理念として掲げ、受験指導に携わってきた。難関中学校への高い合格実績で知られている。小学部は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県に49校舎。中学受験指導した小学生は10万人を超える。

読書している親の姿が子どもに興味を持たせる

読み聞かせされる女の子

「子どもに読書をしてもらいたいです…」と、保護者からご相談を受けることがあります。

しかし、よくよく話を聞いてみると、お父さんもお母さんも読書をする習慣がないというのです。子どもは親の姿をみて育ちますから、「読書をさせたい」と思ったら、まず親が本を読むことが大切です。

その際には、必ずしも難しい本を読む必要はありません。自分の趣味の本でもいいですし、雑誌でもいいのです。興味に合わせて開いていれば、子どもが本を身近に感じて「本は楽しいものだ」と思うようになります。

ほかにも日常的に読み聞かせをしている家庭の子どもは、自然と本に向き合うようになっていきます。文字が読めない年齢の子でも、絵を見てニコニコするなど、自分なりの本の楽しみ方を見つけます。

子どもが字を読めるようになると、「自分で読めるでしょ」と読み聞かせをやめてしまう保護者が多いのではないでしょうか。しかし、小学校に上がったからといって、必ずしも読み聞かせを卒業する必要はありません。

読書のハードルは最初の部分。序盤が読みこなせずに断念してしまうことが多いので、最初の10分の1や8分の1くらいを「一緒に読んでみよう」と大人が読んであげる方法はおすすめです。

とくに小説や物語は人物設定が理解できず、何が起こっているのかがわからないために挫折してしまう子が多いのです。

子どもがある程度設定を理解したり、夢中になったりしたら、「ここから先は、自分で読んでごらん」と子どもにまかせましょう。

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さらに国語力を上げるには、「あとで、どんな話だったか教えてね」と声をかけておき、読み終えたら、「主人公の◯◯は何をしたの?」「どんなことを思った?」など子どもにインタビューをしてみることです。

尋ねるからには、保護者もその本の内容をきちんと理解していなければいけません。

忙しいと思いますが、お父さんお母さんが子どもと同じ本を読むことで、一緒に話をしながら楽しむことができます。

また、「読む」機会だけでなく、本を「選ぶ」機会も大事にしてください。図書館や書店で、自分で好きな本を選ぶという体験は、子どもの興味関心が育つ、とても意味のあることです。保護者が選んだ本ではなく、子ども自身が選んだ本に対しては読む動機も働きやすいものです。

子どもの読む本が、なにも名作文学などである必要はありません。鉄道が好きな子は鉄道図鑑でもいいですし、漫画が好きな子は漫画でもいい。たしかにこれらの本では、文章からイメージを立ち上げるような力にはつながりにくいかもしれません。

しかし、読書に親しんだり本のなかに入り込んで間接体験を積んだりすることはできます。また、多少偏りはあるでしょうが語彙も増えていきます。子どもが読みたくない本を押しつけるよりも、ずっと本に親しむきっかけになるでしょう。ご家庭では、本を「読む」「選ぶ」を充実させ、読書に親しむ環境づくりに注力してみてください。

Check!
・保護者が読書をする習慣をもつ
・本の導入部分だけ、読み聞かせをする
・図書館や書店で子どもが本を選ぶ機会をつくる