ちょっとしたコツで簡単に書ける! 「作文が苦手な子」のための読書感想文の書き方
夏休みの宿題の定番と言えば、読書感想文。何を書けばいいのかわからず苦手意識を持つ子も少なくありませんが、「作文の型」を使うことで誰でも簡単に書くことができます。読書感想文の課題作品の定番・夏目漱石の作品を例にあげて、小論文の神様・樋口裕一先生に、読書感想文を完成させるコツをうかがいました。
※本稿は、夏目漱石著、新井悦子編(巻末:樋口裕一著)『10分でおもしろい夏目漱石』(世界文化社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
樋口裕一
大分県出身。多摩大学名誉教授。作家。数々のベストセラー参考書で全国受験生から「小論文の神様」と呼ばれる。『読むだけ小論文』『作文力をつける』(以上、学研)『ホンモノの文章力』『ホンモノの思考力』(以上、集英社)など、全著書の総発行部数は700万部を超える。小学生から高齢者まで幅広い年齢層に向けて、作文・小論文の通信添削・指導をする白藍塾の塾長を務める。
何をどうやって書いたらいいの?
読書感想文の宿題が出たけれど、どう書くかわからないで困っている人は多いでしょう。いえ、たぶんほとんどの人が困っているのではないでしょうか。
でも、むずかしく考えないで下さい。感想文というものは、ちょっとしたコツをおぼえれば簡単に書けるものなのです。それどころか、少しなれてくると、感想文を書くことがきっと楽しくなるはずです。
感想文は、他の教科とちがって、正しい答えがありません。どんなことを書いてもいいのです。 「みんなが名作だと言うけれど、 ぼくはおもしろいと思わなかった」 「主人公が好きになれない」 。そのようなことを書いても、まったくかまいません。素直な感想を書いてよいのです。ただ、つまらなかったとしたら、その理由を書いて、読んでいる人に説明して下さい。それだけできっとおもしろい感想文になります。
他の人とちがう感想を書こう!
ちょっとだけ心がけてほしいのは、 「みんなと同じようなことを書こう」ということではなく、むしろ逆に、 「他の人とちがう感想を書こう」ということです。みなさんは一人一人ちがう個性をもっています。ですから、本を読んでも、一人一人ちがう感想をいだいたはずなのです。素直な自分の感想を書いたら、きっと他の人とちがった、その人らしい感想になります。それこそがよい感想文なのです。そんな感想文をめざしてください。
まずは作文の型を覚えよう
読書感想文を書くための最初のコツ、それは、 「ホップ・ステップ・ジャンプ・着地」という「型」を利用することです。もちろん、読書感想文が得意な人は自由に書いて下さい。でも、どう書いてよいのかわからないで困っている人は、これから説明する型の通りに書いてみて下さい。それだけでうまく書けます。
【1】ホップ
どんなきっかけでその本を読んだか、その本を見た時にどう思ったかなどを書きます。 「友だちが読んでおもしろいと言っていた」 「先生にすすめられた」 「本屋さんで見つけて表紙が楽 しそうだった」といった内容でよいのです。全体の10パーセントくらいの字数で書きます。
【2】ステップ
本の内容を簡単に説明します。物語の場合、あらすじを書けばよいでしょう。ただし、感想文はあらすじ消化いではありませんので、短くまとめましょう。たとえば「坊ちゃん」を取り上げるのでしたら、東京育ちの坊ちゃんが四国の中学校の先生になったことを、簡単に説明するくらいで十分です。全体の30パーセント程度です。
【3】ジャンプ
その本のどんなところがおもしろかったか、それを読んで何を考えたかを書きます。ここが読書感想文のもっとも大事な部分です。全体の40~50パーセントほどです。
【4】着地
全体をまとめます。これからどのように生きていきたいか、どんな本を読みたいか加えてもいいでしょう。全体の10~20パーセントくらいです。