「今更、行けるわけねえ!」と親を罵倒…不登校の息子が抱えていた苛立ちの正体

水野達朗
2023.08.24 13:19 2023.08.21 06:00

高校生の男子

問題を起こさない良い生徒であっても、突然学校に行けなくなってしまう子がいます。これまでのいい子の態度が急変し、キレて反抗的になることも。不登校復学支援専門のカウンセラーである水野達朗さんが、その原因と対応策について語ります。

※本稿は水野達朗著『無理して学校へ行かなくていい、は本当か 今日からできる不登校解決メソッド』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです

水野達朗(家庭教育アドバイザー、不登校復学支援専門のカウンセラー)
不登校専門の訪問カウンセラーとして多くの不登校の子どもたちと関わり復学へと導く。不登校の解決法として家族内コミュニケーションの在り方に着目し、水野式の家庭教育メソッドである「PCM(=ParentsCounselingMind)」を構築。家族と子どもの自立を第一に考え、全国の親と子をサポート。

大切なことは親の共感姿勢

息子を見つめる母親

お子さんの不登校解決に重要な親の姿勢は「共感」という考え方です。共感とは子どもの気持ちを否定せずに肯定的に感じることを言います。

この共感力を親が鍛えれば、子どもが抱えている課題を解決できる可能性が大きくなります。親の共感的姿勢により親子関係が改善し、不登校や、引きこもり、家庭内暴力の問題解決につながる場面を数多く私は見てきました。

この共感的姿勢を親が身につけると、子どもにとって親が「相談に乗ってくれる味方」になります。皆さんはご自身の不安な気持ちを優先してしまって子どもの気持ちに寄り添わずに登校を促してしまい、親と子が敵対関係のようになっていませんか?

多くの不登校の子どもたちは心に傷を負っていたり、現実とは違う個人的な思い込みに囚われていたり、頭では理解しているけれど体が動かなかったり、自分自身の存在を受け入れることが困難になっていたりします。

もちろん「怠けの延長線上にある不登校」にもそれなりの葛藤があります。そのような不登校の子どもに共感してあげるだけで親を頼りにしてくれるようになります。

逆に親が子どもの気持ちに否定的で、共感していなかったり、ただ単に同情をしているだけだったり、説教ばかりしたりしている場合は、親子のこころの距離が離れてしまって子どもは親の話を聞きませんし、抱えているものを話してくれずに親と相談をする関係性になりません。

不登校の我が子に対する親の対応としてまず大切なのは言葉の選択ではなく、まずは「親はどんな状況にあってもあなたの味方なんだよ」という立場作りです。

それをなくしては不登校解決にはつながりません。そのような子どもの味方である立場としての親の姿勢を身につけたうえで実際にどのようなコミュニケーションスキルが効果的なのかをご説明します。