「今更、行けるわけねえ!」と親を罵倒…不登校の息子が抱えていた苛立ちの正体
不登校を乗り越えた親からの手紙
・不登校を乗り越えた父親奮闘記(中3・男)
この度、ペアレンツキャンプのご支援を卒業させていただきました。そのご支援に心からお礼申し上げるとともに、私たち家族が、今、幸せでいられるのも、ペアレンツキャンプの皆様方のお力添えのお陰と深く感謝申し上げます。
顧みれば我が子が中学校に行かなくなったのは、中学3年生の4月の初めの頃でした。その頃には塾を休むことがありましたが、生活の疲れと思っていました。
きっかけは弟と喧嘩している中、父親の私が仲裁に入り、私との言い争いが深夜まで続くという出来事でした。
翌朝、「頭が痛い」と言い、私も「昨夜、遅くまで言い争っていたから」と安易な気持ちで学校を休ませたのですが、2日目も3日目の朝も「まだ頭が痛いから休む」と言って、病院の受診を促しても、「うるさい。あっちに行け」と大声を張り上げて拒み、学校を休み続けるようになりました。
小学校の頃は、クラスの中心的な存在で、勉強面や生活面も非常にまじめ、中学校に入っても優等生タイプで、今まで私の注意や叱責に反抗もせず、俗にいう「いい子」(この考えは後に間違っていると気づきました)であった我が子の態度が急変し、何を言っても反発する姿は、私たち夫婦には受け入れられないものでした。
不登校になってからは、生活のリズムも崩れ、起床はお昼頃、寝るのは夜中の2時を回ってから。ゲームをするか、テレビを見てばかりで、その合間に昼寝という状況で、次第に担任や生徒指導の先生が訪問しても顔を合わせず、自宅に引きこもるようになっていきました。
生徒指導の先生とも相談し、スクールカウンセラーにも相談しましたが、結局は「今しばらく様子をみましょう」となるばかりでした。
時折、本人も「もう、そろそろ学校に行かないと…」、「来週から行く」とか「7月になったら行く」「受験が心配」と言うものの、結局行けない状況が続きました。
連休中には「今更、行けるわけねえ!」と大声を張り上げて親を罵倒し、寝ている弟を殴る、蹴るまでになっていきました。今から思えば、学校へ行くことのできないイライラを爆発させていたのでしょうが、その時には子どもの気持ちが理解できずにいました。
夏休みとなり、ある人から、ペアレンツキャンプという名前をお聞きしました。すぐにホームページをくまなく読ませていただくと同時に、水野先生の本を購入いたしました。
今まで私たち夫婦がしていた「しつけ」という名の先回り、過干渉、親の価値観を押し付けていたことが子どもの成長・自立を妨げて、無理やり「いい子」にしていたのだと気づきました。
その後、最初の電話カウンセリングにおいて、「復学させることは難しいことではない。ただし、継続登校できるかどうかは、家庭内の対応が鍵となります。それは非常に大変なことですよ。それ相応の覚悟が必要なので、一度、夫婦でよく話し合ってから支援を受けるのかどうか決めてください」とのお話がありました。
私たち家族や我が子の今後の人生を考えて、ペアレンツキャンプにお願いするしか他に術はないと考え、妻にその旨の話をしました。
実際に支援が始まった当初は、「もう少し夫婦の意志統一をしていただかないと、支援は難しいですよ。家庭教育支援は、父母の立場関係が重要で、特に、普段子どもと接する機会の多い母親の役目が大切ですから」と言われました。
改めて妻と話し合い、子どものためにできる限りの努力をしようと話し合いました。
親子の会話の詳細を記した家庭ノートから、私たち夫婦の子どもへのメシテイ(命令・指示・提案)が非常に多いこと、家庭内での父母の立場逆転などのご指摘を頂き、こうした状況にはこうした言い方が良いなどの添削を見て、より一層注意しながら子どもと接するように夫婦とも努力しました。
親自身が学び、実践をしていきながら子どもの変化を見守りつつ、同時に直接的に子どもに対応をしていただける訪問カウンセリングを導入していただきました。
水野先生の訪問カウンセリングで、息子は、「やはり学校には行きたい。でも、今となってはどうしても行けない」と涙ながらに話し、私にも「今まで迷惑をかけてごめんなさい」と謝りました。その時の顔は、昔の元気に毎日学校へ通えていた頃の顔に戻っていたように感じられました。
学校への復学までの間も訪問カウンセリングを受け、子どもに寄り添い、復学への緊張や不安を和らげ、励ましていただきました。子ども自身も先生方を心底から頼りにするようになっておりました。
そして、復学日の当日は、遠方にもかかわらず早朝からお越しいただき、親身になって息子に勇気づけの対応をしてくださいました。
私たち夫婦に「行ってきます」と言い残し、訪問カウンセラーの先生とともに学校へ向かい、先生を振り返りながら、校門をくぐっていったそうです。その報告を受けた時には涙が溢れてきました。夫婦で喜び合い、家族の中では忘れることのできない日となりました。
その後の継続登校期間中も、訪問カウンセラーの先生には、度々我が家に足を運んでいただき、学校での様子や勉強について確認していただくとともに、部活での悩みにも対応してくださいました。
子どもが親に話しづらいことを、訪問カウンセラーの先生の力を借りて私たちに話をするという場面を何度もつくっていただいたことで、子ども自身も安心して、継続して学校に行くことができたと思っております。
復学してからは、楽しく学校生活を送っているようです。そして高校受験も乗り越え、見事に第一志望の高校に合格することが出来ました。
子どもが社会に出るまでには、まだ多くの歳月が必要です。今後、家族だけで歩んでいくと思うと不安が残りますが、ペアレンツキャンプで学んだ家庭教育を改めて確認し、学びを継続していきたいと考えております。支援に卒業があっても子育てに卒業はありませんから。
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