100万人の子を寝かしつけた『おやすみ、ロジャー』 それでも寝ない子への読み聞かせのコツは?
子を持つ親にとっての難関はなんといっても「寝かしつけ」。さあ寝ようと子どもに声をかけた瞬間からはしゃぎだす子が全世界に何人いることでしょうか?
そんな世界の親たちの悩みを解決しつづけ、日本国内での発行部数が100万部を突破した本が『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(カール=ヨハン・エリーン著、飛鳥新社刊)。「たった10分で、寝かしつけ! 心理学的効果により読むだけでお子さんが眠る」を謳った大ヒット絵本です。
本記事では、この本の翻訳者である三橋美穂さんに、『おやすみ、ロジャー』を読んでも効果がなかった!と嘆く親御さんに向けて、読み聞かせをする際の注意点について詳しくお話をうかがいました。(写真提供:飛鳥新社)
三橋美穂(快眠セラピスト/日本睡眠学会正会員)
寝具メーカーの研究開発部長を経て独立。睡眠を多角的にとらえた実践的なアドバイスと、手軽にできる快眠メソッドが、テレビや雑誌等で支持を集め、睡眠のスペシャリストとして多方面で活躍。講演や執筆活動のほか、ベッドメーカーのコンサルティングや、快眠グッズのプロデュース、ホテルや旅館の客室コーディネートなども手がける。
読み聞かせのコツは、親も寝るつもりで「とにかくゆっくり」
『おやすみ、ロジャー』は3歳ぐらいを想定した絵本ですが、言葉がまったくわからない生まれたての赤ちゃんでも効くときは効きます。
なぜならば、息を長く吐いて読み聞かせしてあげることが親のリラックスに繋がって、そのリラックスした空気が子どもに移るという作用があるようなんです。
特に子どもが小さいうちは場を共有してるので、お母さんやお父さんの心理状態がダイレクトに伝わっていきます。お子さんもリラックスして眠くなってくれるんです。
ですので、読み聞かせをする際のコツは「とにかくゆっくり読むこと」。早く寝かしつけようとして早口にすると、時間短縮にはなるんですがあまり効果が出ません。
親御さんが読むときには、自分も寝るぐらいのつもりで読む。本当に寝てしまってもいいんです。「早く寝ないかな」と思いながら読んでいると、子どもにその気持ちが伝わってしまうので効かないですね。
子育てしながら仕事もしてっていう方が今多いですけど、それがうまく回ってる方々っていうのは、大体お子さんと一緒に寝て、早く起きて、家事をするっていう方たちな印象があります。だからこの絵本を読みながら、自分も一緒に寝ちゃいましょう。
絵本を読んでも「自分が眠くなって子どもが寝ない」って言われることがあるんですけど、「自分が寝た後にお子さん寝ませんか?」と聞いたら「寝ます」と仰ってたんですよ。ですから、どっちが早く寝ても結局寝るから。大丈夫大丈夫、それでいいんですって話してます。
正直、「ごめん早く寝て、またちょっと仕事させて」みたいなこともありますが、だったらもう生活のスタイルをこっちも変えるくらいの気持ちの方が、この本も上手に使えるかもしれないし、いろんなことがうまく回っていくんじゃないでしょうか。