我が子のためが裏目に…「不登校の原因」を生んだ親の過干渉
自分の子どものためを思って、ついつい口を出してしまう親御さんは多いはず。我が子を愛しているが故の行動であっても、子どもにとっては「過干渉」になっているかもしれません。不登校復学支援専門のカウンセラーの水野達朗さんが、不登校の原因にもなり得る過干渉の問題性について解説します。
※本稿は水野達朗著『無理して学校へ行かなくていい、は本当か 今日からできる不登校解決メソッド』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです
水野達朗(家庭教育アドバイザー、不登校復学支援専門のカウンセラー)
不登校専門の訪問カウンセラーとして多くの不登校の子どもたちと関わり復学へと導く。不登校の解決法として家族内コミュニケーションの在り方に着目し、水野式の家庭教育メソッドである「PCM(=ParentsCounselingMind)」を構築。家族と子どもの自立を第一に考え、全国の親と子をサポート。
過干渉傾向タイプの親
親子の会話を振り返った時に、「お風呂に入りなさい」「勉強しなさい」「ゲームはそろそろやめなさい」などと、命令や指示や提案(メシテイ)が多い親子コミュニケーションになっているタイプ。
私の不登校支援では親子会話を分析するために日々の会話を記入した家庭ノートチェックを行います。実は家庭ノートの分析をしていくと、びっくりするくらい多くの不登校の家庭がこのタイプに当てはまります。皆さんはどうですか?
なぜ親は過干渉になるのでしょう。
それは、何をもって過干渉なのか、どこからが必要なしつけなのかという明確な線引きがないため、ついつい親心で子どもを甘やかしたり、年齢以上に幼く扱ったりしてしまう、ということに尽きます。ひと言でいえば「子どもに失敗をさせてこなかった」親御さんが当てはまります。
このタイプの家庭では、「宿題した?」「忘れ物はない?」「早く食べなさい」「もう時間よ」など、いつもお子さんの行動を監視してしまいます。行動しない子どもに対して親はイライラしがちです。
なので、今よりも親は子どもが自分から行動するまで「待つ」努力をし、メシテイ(命令・指示・提案)ではなく親の気持ちを伝える対応(お母さんは心配だわ、お母さんは悲しいよ、など)を活用することによってお子さんの自立心を育むことが大切になります。
何度も親の気持ちを伝えても子どもの行動が変わらない場合は、子どもが親を信頼していない可能性が高いので、そこでイライラせずに子どもの気持ちに寄り添う共感的な姿勢で信頼関係を築くようにしていきましょう。
何か注意をする時には「子どもがその行為をしたら困るのは本人なのか親なのか」を考え、一呼吸置いてから行動に移るように努力してみましょう。困るのが子ども本人の場合、注意は不要です。その結果を子ども本人に経験させる方が子どもの行動は変わりやすいです。
またこのタイプの家庭のお子さんは親に対する依頼心が強く、何かあるごとに「お母さ~ん」と呼びかけることが多く、「年相応の自立」という意味で幼い子が見受けられます。
この傾向が強く出過ぎると、一人では小学校に登校出来ずに、母子登校になったり、自分で考えて行動することを求められる学校よりも、優しいママやパパのいる家の方が良いと考えて不登校になったりするケースもあるので注意が必要です。
中学生の不登校のケースでも「年相応の自立」が育まれていないことによるストレス耐性の低さに起因することがあるので同様に注意が必要です。
過干渉タイプの親御さんはお子さんに大きな問題が現れない限り自覚症状がないケースが多いです。不登校や非行などの問題が起こってからでは大変です。
「この子は私がいないと一人では何もできないから…」と決めつけていませんか。その対応がお子さんの「年相応の自立」にとって有意義なことなのか、よく考えてみましょう。