不倫すると親権をとれない? 「子連れ離婚」をする前に絶対に知っておくべきこと

新川てるえ、ふじいまさこ
2023.08.24 12:54 2023.08.30 11:50

マンガ 子連れ離婚を考えたときに読む本

有名人の不倫や離婚が話題になると、親権や慰謝料、養育費について取り沙汰されます。不倫をした親は親権者になれないイメージもありますが、実際のところはどうなのでしょうか? 慰謝料や養育費の行方も気になるところです。

子連れ離婚を考えたときに、何を話し合い、どのように準備を進めるべきか。離婚・家庭問題カウンセラーとして、25年間で1000件以上の離婚相談に応じてきた新川てるえ氏の新刊『マンガ 子連れ離婚を考えたときに読む本』から引用して解説します。

※本稿は、新川てるえ[著],ふじいまさこ[漫画]『マンガ 子連れ離婚を考えたときに読む本』(日東書院本社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

新川てるえ(作家・家庭問題カウンセラー・NPO法人M-STEP理事長)
10代でアイドルグループのメンバーとして芸能界デビュー。1997年にインターネット上でシングルマザーのための情報サイト「母子家庭共和国」を開設。3度の結婚、離婚、再婚の経験を生かしシングルマザーコメンテーター・家族問題カウンセラーとして活躍。2014年シングルマザーとステップファミリーを支援するNPO 法人M-STEPを設立。『マンガ 子連れ離婚を考えたときに読む本』(日東書院本社)、『子連れ離婚を考えたときに読む本』(日本実業出版社)、『子連れ再婚を考えたときに読む本』(太郎次郎社エディタス)など著書多数。TBS「ひるおび」などメディア出演多数。

子連れ離婚を考えたら…

マンガ 子連れ離婚を考えたときに読む本

子連れ離婚を考えたとき、夫婦で次の3つのことを話し合う必要があります。

①離婚をするか、しないか

②子どもに関すること(親権、養育費、面会交流など)

③お金に関すること(婚姻費用、慰謝料、財産分与など)

①離婚をするか、しないか

まずお互いに離婚の意思があるかどうかを確認します。実際には、後述する子どもやお金に関する意見がまとまらなければ、離婚の合意そのものも難しいかもしれません。その場合は、協議離婚ではなく調停離婚となります。

②子どもに関すること(親権、養育費、面会交流など)

マンガ 子連れ離婚を考えたときに読む本

まず何より、離婚後に子どもの面倒を見たり子どもの財産を管理したりする「親権」をどちらがもつか、取り決めをしなければ離婚できません。離婚届には親権についての記載が必須です。親権は経済力のみによって決められるものではありません。

また、不倫など離婚の原因をつくった有責配偶者だからといって親権者になれないわけでもありません。どちらの親のもとで育てられたほうが安定した生活環境で子どもの利益になるかを最優先で考え、一番に考慮されるべきは、子どもの幸せです。

ただし、親権をもたないからといって、親でなくなるという意味ではありません。親としての責任は、子どもが成人するまで続きます。親権の取り決めが合意に至らなければ、協議離婚はできません。

養育費についても必ず話し合います。養育費は「子どものため」のものであり、離婚して離れて暮らす親にも扶養義務があります。しかし、離婚を急ぐあまりに養育費の取り決めをしないまま別れてしまったり、取り決めをしても支払われなかったりするケースが多いのが現状です。

養育費の未払いがあったとき、「債務名義」があれば、法の力に頼り支払いを強制することができます。債務名義とは「強制執行認諾文言付き公正証書」「調停調書」「審判調書」「確定判決」「和解調書」のことです。

これらがあると、養育費の未払いがあったときに、家庭裁判所から支払いの勧告や命令したり、未払いに対して制裁金を発生させたり、給料を差し押さえたりできるようになります。

離婚時に養育費を取り決めていない場合でも、子どもが成人するまで扶養される権利があるので、いつでも取り決めができます。なお、令和4年に成人年齢が18歳に引き下げられましたが、それ以前に「子が成人するまで養育費を支払う」と取り決めていた場合は、その時点での成人年齢(20歳)まで養育費の支払い義務があります。

また、子どもの成長にともない学費が増加した場合や、親の失業や病気などで状況が変化した場合は、養育費の減額や増額の条件変更が可能です。状況に合わせて、子どものために両親がベストを尽くすことが大切です。

そして、離婚後に離れて暮らす親が子どもに会う「面会交流」についても取り決めましょう。面会交流は、親の「子どもに会いたい」という気持ちを満たすためのものではなく、あくまでも子どもの福祉の面から考慮されるものです。

DVや虐待など子どもに悪影響がある場合は別ですが、離れて暮らす親からの愛情を子どもが感じられるためにも、面会交流は推奨されています。