子どもがワガママになる最大の原因は? 「自己中心的な性格」を変える親の関わり方

メリンダ・ウェナー・モイヤー

子どものわがままは親の関わり方で変わる

性格に個人差があるのも確かです。私には子どもが2人いますが、わがままの度合いには差があります。ハロウィーンでもらうお菓子がよい例です。

息子はお菓子をため込むタイプで、苦手なお菓子ですらめったに人にあげません。息子が苦手なピーナツバターカップチョコを「私にちょうだい」と言ったら、少しの間考えてから「前にあげたでしょ? ほら、4カ月くらい前に」と言われました。

一方の娘は、お菓子をどんどん人にあげるタイプです。一つずつティッシュに包み、まれ、同じ家で育ちながら、一体なぜこれほどの差が生じるのでしょうか? ときどき不思議に思います。

子どもの行動分析をおこなう専門家たちはこう述べています。「自己中心的な傾向がある子も、親の関わり方次第で変わります。簡単な手法によって、少しずつ正しい方向に導くことができます」。

感情について話をする

ピッツバーグ大学のある研究チームは、保護者による読み聞かせの仕方と子どもの言動を検証しました。

すると、読み聞かせ中に感情について声かけをしていた保護者の子は、その後の遊びの最中におもちゃを譲ったり、調査員の手助けをする確率が高かったそうです。感情について子どもと話すには読み聞かせが必要というわけではありません。

また、この手法は、幼い子にしか通用しないわけでもありません。子どもの年齢にかかわらず、親がさまざまな場面で感情について口にするのが理想的です。

まずは、あなたの感情を言葉にしてみましょう(「すごく時間をかけた報告書を上司にけなされて、今日はイライラしてるの」など)。子ども自身の感情についても、たずねたり言葉をかけたりします(「大丈夫? 少し悲しそうな顔をしてるけど、何かあった?」など)。

発達心理学者のスチュアート・ハモンド氏は、こうした会話により「他人の感情を理解し他人を気づかう力、つまり共感力や思いやりが高まる」と述べています。感情を口に出し、どう感じているかをはっきりさせるだけでも役立ちます。

先日、夕食中に子どもと思いつく限り感情の種類をあげ、それはどんな感情かと話し合ってみました。おもしろかった上に、子どもにとってよい学習になりました。

というのも、翌日、娘が息子と話しているときに「高揚した」という、これまで使ったことのない言葉を口にしたのです。子どもに何かを頼んだりはげますときにも、他人の感情や自分の感情を言葉にして織りまぜましょう。

子どもをしつけるときにも、感情についてふれるようにするとよいでしょう。子どもが、他人が悲しんだり傷ついたりする言動をとった場合、それを言葉にします。

私は最近、娘が息子をたたいたら「たたかない!」と注意するだけですませず、「たたいたらダメ。たたかれるとすごく傷つくんだよ。ほら、悲しんでるでしょう」などと言うようにしています。

その後、相手にあやまらせるだけでなく「大丈夫?」と確認させ、機嫌を直してもらうにはどうすればよいかを考えさせます。これは、「誘導的しつけ」というアプローチに基づいた考え方です。

提唱者の調査によると、しつけの際、子どもの言動が他人にどう影響するかを親が説明すると、その子は自分がとる言動の意味を理解し、言動を改める傾向が高いそうです。他人の感情を想像し、自分にも責任があると考える力がつくのです。

同様の例として、「よその家の玄関前で雪合戦をしたら、その家の人は雪かきをやり直さなければならないよ」とか、「弟が寝てるから静かにして。そうすれば起きたときにぐずらないから」と言うなどのケースがあります。

1996年には、しつけの手法についての調査がおこなわれました。すると、「誘導的しつけ」をしていた(子どもの言動が他人にどう影響するかを説明していた)親の子どもは、力でねじ伏せる手法(罰を与えるなど)でしつけをしていた親の子どもよりも思いやりがあり、共感力が高かったそうです。

別の研究でも、子どもが悪い言動をとった際にそれが他人にどんな悪影響を及ぼすかを説明していた母親の子のほうが、過ちをつぐなおうとしたり、困っている人を助けようとしたとの結果が出ました。

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