子どものコミュ力を育てる「親の3つの質問」
人間関係は、学生時代だけではなく社会人になっても非常に重要です。人間関係に悩まず、周囲の人に愛される子に育てるために、子どものコミュニケーション能力を伸ばしてあげましょう。効果的な3つの質問を、中野日出美さんが紹介します。
※本稿は中野日出美著『自信がない・考えるのが苦手・傷つきやすい 「心が強い子」に育つ100の質問』(大和出版)から一部抜粋・編集したものです。
中野日出美(なかの・ひでみ)
NPО法人 日本心理コミュニケーション協会 代表。公認心理師。心理セラピスト。絵本作家。親子関係の改善を図るセラピーの専門家。
なぜ、コミュニケーション力が必要なの?
私たち人間は社会的な生き物です。1人で生きているつもりでも、何かしらの形で他者と関わり合って生きています。
私は潜在意識を扱う心理セラピストとして25年ほど、じつにたくさんの方の人生に関わらせていただきました。
「人間の悩みの90%以上は人間関係にある」と言われているように、配偶者、子ども、親、職場の上司、同僚、部下、友人などとの関係性が心や身体の問題の原因であることは驚くほど多いものです。
逆に言うと、仕事や人生で何かしらの障害が出てきても、周囲との人間関係さえよければ、乗り越えていけることがほとんどだということです。
しかし、現代では「コミュ障」などと言われる、人間関係がうまくいかない、コミュニケーション力が低い人たちがとても増えています。
それが原因となり、適応障害、うつ病、過敏性腸症候群、パニック障害、その他もろもろの病気になっている方も少なくありません。学校でも家庭でも成績のほうに気が向いてしまって、なかなかコミュニケーション力を育むことまでには気が回らないのが親としての実情ではないでしょうか?
と同時に、親自身のコミュニケーション力が低いと、子どものコミュニケーション力も低くなる傾向があります。ですから、親もコミュニケーション力を上げることによって、子育ての悩みが減るのは間違いありません。
また、社会に出てから本当の意味で成功するのは、IQの高い人よりも「EQ(心の知能指数)」が高い人であると言われています。EQとは、他人の感情を感じ取る能力(共感力)や、自分の感情をうまくコントロールできる能力です。
しかし、「コミュニケーションの質は、いつも受け取り側が決める」と言われているように、いくら自分としては相手が喜ぶようなことを言っているつもりでも、それが相手にとって気分の悪いものであれば、それはいいコミュニケーションとは言えません。
つまり、いくら共感力が高くても、それを上手に表現できる力がないと伝わらないのです。この場合の表現力とは、言語能力や表情などです。相手の表情や空気感を読みながら、こちらの言葉や表情もコントロールしてやりとりできることが大切です。
コミュニケーション力を高めるトレーニングはたくさんありますが、最も大切なのは、「相手のことを思いやれる心」と、愛情や感謝、親切、関心、承認などを欲しがるばかりではなく、「こちらから惜しみなく与える力」です。
「give & take」とはよく言ったもので、giveが最初なのですね。まずは、こちらから与えること。その際、takeという見返りは、できるだけ求めない。
私が今まで生きてきて、「ああ、この人は優しいなあ、素晴らしいなあ」と思う人たちは、こちらが気づかないように、こちらの負担にならないような形で、そっとこちらが必要なものを差し出してくれる人たちでした。
本当の優しさとは、誰にも気づかれないかもしれないし、感謝の言葉さえもらえないかもしれないけれども、その人にとってはとても必要なものをさりげなく与えられることなんだなあ、と感じます。そして、私もそんな人を目指しています。
本稿では、お子さんが将来、周囲の人から愛され、信頼され、認められるためのコミュニケーション力を育む質問をご用意いたしました。親子で楽しみながら、質問に答えてみてください。