苦手な親が多い? 子どもの自己肯定感を育てる「短所の認め方」
親にとっての「当たり前」を一度、なしにする
「自己肯定感を育てたいと思っています。でも何をしてあげればいいのでしょうか?」というご相談が増えてきました。
「自己肯定感を育てる時間」が必要だと思うまじめなお母さんお父さんもいます。でもそんな時別な時間は必要ありません。
いつもの言葉かけを「認める言葉」に変えるだけでいいのです。
「認める言葉」をイメージしやすいように、親が子どもに教えたい知識を「お水」、子どもの自己肯定感を「器」にたとえて説明しますね。
まずはよくある会話をNGマンガで見てみましょう。お母さんは、「片付ける」大切さを教えたいと思っています。お父さんも「着替える」ことを教えようとしています。どちらも子どもにできるようになってほしいこと。正論です。
でもちょっと、子どもの視点で考えてみましょう。
遊んでいるように見えても子どもは今、積み木をどうやったら高く積めるのか挑戦中です。微妙な平衡感覚や指の感触を駆使して、丁寧に積み木を置くことに集中しています。
そんなときに、お母さんは「片付けの水」を、お父さんは「着替えの水」を一生懸命に入れようとしています。でも器(自己肯定感)がまだ小さいので、あふれてしまって入らず、子どもが言うことを聞いてくれないのでイライラしてしまいますね。
お母さんお父さんがすべきことは、お水を入れる前に、器を大きくすることです。器は、子ども自身がやっていることをそのまま認められることで育っていきます。
なぜなら、子ども自身が誰に言われたわけでもなく、自分でやりたいことを見つけて、工夫してできるように努力していることを認められることで、「そのままの自分でいいのだ」と自己肯定感を育てていけるからです。
これこそ親が子どもに、生涯をかけて身につけさせたい力のはず。それを親自身がやめさせては、もったいないと思いませんか?
親がすべきことは、正論を言うことではなく、まずは、子どものやっていることに気づき、認めて自己肯定感を育てることが先です。
OKマンガを見てみましょう。
お母さんお父さんには、ただ遊んでいるようにしか見えないことでも、子どもの挑戦(この場合は積み木を今までより高く積むこと)に気づき、認めることで、器は大きくなっていきます。
認められれば認められるほど、地頭のよい子になる
自分を認めてもらった後で、親(相手)のしてほしいこと(片付けること)を認められるようになります。つまり育った器(自己肯定感)には、お水(知識や正論)がたくさん入るのですね。この順番が重要です。
「認める」というのは、それはいい、悪いと、と評価することではなくて、子ども自身の判断をそのまま認めていくことです。それによって、無条件に自分は認められている、愛されていると感じて、自己肯定感が育っていきます。
認めてばかりいたら、善悪がわからなくなるのではないかと心配になりますが、自分の判断を認められることで、自分の行動を考え、相手の立場を認めることもできるようになります。
そして人に左右されたり依存したりせずに、自分の意見を育てていけます。
もちろんマンガのように、1回でうまくいくのは難しいでしょう。でも、丁寧に順番に言葉かけを繰り返すことで、「地頭がいい人」とか「器が大きい人」に成長していきます。
最初は小さな器も、親の言葉かけによって、無限に大きくすることができるのです。今日から言葉かけを変えて、自己肯定感の高い子どもに育てましょう!
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