「掃除ぐらいやったら?」子育て中のママを失望させたパパの何気ない一言
子どもが生まれてからも、夫婦でしっかりコミュニケーションを取っていますか? 業務連絡しか話さなくなってしまったり、パパの何気ない一言で、夫婦ゲンカが起きてしまうことも…。夫婦仲を円満に保つには、男女のコミュニケーションの違いについて理解することが重要です。本稿ではファザーリングジャパンが、ママにかけてあげるべき言葉や、NGワードなど詳しく紹介します。
※本稿は、ファザーリングジャパン著『家族を笑顔にする パパ入門ガイド』(池田書店)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
ファザーリングジャパン
「父親であることを楽しもう=Fathering(ファザーリング)」と思うパパたちを増やし、子育てを支援するため、2006年に設立。全国で年間1000回を超えるパパ講座・イクボス講座、セミナー、イベントなどを実施している。「働き方改革」を推奨する企業や行政と連携した取り組みも多い。支部団体を有し、会員数は400名を超える(2017年12月現在)。
夫婦の会話が業務連絡になっていませんか?
恋人同士で付き合っていた頃の二人は、互いの趣味や好み、将来の計画など色んなことを語り合っていたはず。それが結婚し、子どもが生まれてしばらく経つと、夫婦の会話が「今日は何時に帰る?」「夕食いるの?」といった味気ないやりとりに。
昔の父親は「フロ」「メシ」「寝る」のみで夫婦の会話が成り立っていました。しかし今、そんな没コミュニケーションをしていると、ママから「うちの夫はATM(=必要なときにお金を引き出せればそれでいい)」「ゾンビ(=死んだものと思っている)」とみなされ、一触即発の離婚危機です。
一方、パパから「子どもが産まれてから妻が変わってしまった」と嘆く声を聞くことがあります。ママの愛情のほとんどが子どもに向かい、夫である自分に関心をもってもらえなくなり寂しさを感じている人もいます。
夫婦の役割は、子どもが生まれると大きく変化します。妊娠中から圧倒的な責任とプレッシャーを背負って母親になる準備をしてきたママに比べ、出産でいきなり父親になったパパは親としての自覚がスローです。そうした意識のズレが、夫婦のすれ違いの原因になります。
パパに稼ぎ手の役割だけでなく、子育てを相談し合える、よきパートナーの役割を望んでいるママは多いです。パパが期待を満たさないと、ママの不満要因になります。
例えば、パパが何気なく「手伝おうか?」と口にし、ママがブチ切れるケース。パパからすれば、育児と家事にがんばっているママをサポートするつもりで「手伝ってあげようか?」と声をかけるのですが、お手伝い感覚で当事者意識がないパパの姿勢に、ママは腹を立てるのです。
同様に、「育児に参加」「家事に協力」も地雷ワード。参加や協力を語るパパには、主体性が感じられません。かつてのパパたちがよく口にしていた「家族サービス」もNGワードです。
「家族サービス」の裏にある「自分の本来の役割は仕事であり、育児は余裕があるときにやればいい」といった心理が伝わるからです。
子どもが生まれると「父親になったからにはもっと稼がなければ」と仕事スイッチが入る人がいます。ママがそう望んでいるのならばよいのですが、ママは「残業代を稼ぐより、早く家に帰ってきて子どもと関わってほしい」と願っているかもしれません。
夫婦で互いに何を期待しているのか、そのつど確かめ合うとよいでしょう。夫婦の期待役割は、仕事の異動や昇格、二人目以降の妊娠出産など環境が変化すると変わります。パートナーシップは、夫婦の良質なコミュニケーションが基本です。
ママへの声かけのポイント
・「がんばってるね」
「がんばってね」と「がんばってるね」の違いがわかりますか? 前者は指示命令、後者は承認・共感です。もう十分すぎるほどがんばっているところに、命令口調で他人事のように指示されるとカチンときます。
ついでに言えば、「ごみ落ちてるよ」とママに指示する前に、気がついたら自分で拾いましょう。
・「今日はどうだった?」
夕食の団らんで「今日はどうだった?」と質問し、ママが話し始めたら最後まで聞きます。うなずいて、共感して聞いてくれると、ママは気持ちよく話ができます。会話の途中で「結論は何?」「オレに何を期待しているの?」と口をはさまないように。
・「いつも、ありがとう」
「感謝」の反対語は何だと思いますか?
答えは「当たり前」。私たちは、当たり前と思うと感謝しなくなるものです。いつも当たり前のように家事をして、子どもの面倒をみてくれているママに「ありがとう」、そして、当たり前に暮らしている家族の日常に、「ありがとう」と心からの感謝を贈りましょう。
男と女でコミュニケーションの仕方が違う
男性と女性ではコミュニケーションの仕方が異なります。例えば、パパたちからよく聞く不満に「仕事から帰宅して家でくつろぎたいのに、ママから結論のない話を延々と聞かされて休めない」というのがあります。
これは、「男は一日8千語、女は一日2万語を話す」という調査結果を参考にすると、ママの置かれた状況や気持ちが理解できるようになります。(『話を聞かない男、地図が読めない女』アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ著、主婦の友社)
赤ちゃんを子育て中のママは、日中ずっと言葉の話せない相手と過ごしているため、数語も使っていないことがあります。そこにパパが帰ってくると「残りの2万語を使える大人が来た!」とばかりに、マシンガントークを発するわけです。
しかし、パパは会社の打ち合わせや商談で8千語を使い果たしており、話す気力を失っています。パパとしては、ママの話を(2万語を消費し尽くすまで)聞き続けるしかありません。
職場では問題解決型 家庭では共感型
また、男性は「問題解決」、女性は「共感」を志向するといわれます。ママから子育ての悩みやママ友とのトラブルなどを聞かされると、パパはつい「解決しなければ!」と考え、話を途中でさえぎってアドバイスを始めがちです。
でも、ママが求めているのは「私が悩んでいることをわかってほしい」という気持ちへの共感なのです。夫婦の会話でアドバイスはほとんど不要です。職場と家庭でコミュニケーションのスタイルを切り替えましょう。家庭では問題解決よりも、共感を意識した話し方や聞き方をするのがベターです。
そして、パパの育児で何より優先すべきは、ママの情緒的ケアです。ママのことを気遣い、マメに連絡し、いたわりの気持ちをもって接することが必要です。言葉だけでは満足しないママもいますので、行動でもがんばって示しましょう。パパも大変!
やってもらって当たり前なことなんてひとつもない!
パパとしては悪気なく発した一言が、ママを傷つけてしまうことがあります。下の「つい口にしてない? ママが傷つく言葉」を見ていくと、言葉の裏にはパパの「当たり前」という意識が透けて見えます。
家にいる方がやるのが当たり前、ママがやるのは当たり前、という考え方です。パパの頭の片隅にこの「当たり前」があると、ふとしたときに言葉として出てしまいます。
また、上司のような上から目線の言葉もNGです。パパとしては、仕事の延長でつい上司のような口調になってしまうのでしょうが、ママたちは傷つきます。
特に、夫婦間で家事・育児の負担割合に差がある場合に、パパから上から目線の言葉を投げられると、ママは「私が家事・育児を担っているからあなたは外で働けるのよ!」と日ごろの不満が爆発してしまいます。
こうなってしまうと、お互いに「自分の方が大変なんだ」と主張し合うようになり、不毛な苦労自慢大会が始まります。いくら夫婦といっても、やってもらって当たり前のことなんて、ひとつもありません。お互いが担っている役割に心から感謝をし、フォローし合おうという姿勢が必要です。
どんなに忙しくてもお互いへの気遣いを忘れないことです。
つい口にしてない? ママが傷つく言葉
【自分のことは自分で】
・自分で置いた場所を忘れたくせに「ママどこにやった?」
・自分でクリーニング店から引き取り損ねたのに「あのシャツ絶対今日とってきて」
・冷蔵庫にマヨネーズがないのを見て「俺マヨラーだから、ないと困るんだけど?」
【何もしてないくせに!】
・ 子どもの世話で掃除ができなかった日「子どもの相手してるだけなんだから、掃除ぐらいちゃんとやったら」
・ 子どもの身支度中、自分の準備だけして「まーだー?」
・ 子どもをあやしながら料理してたら「えっ? まだできてないの?」
【気づいたならやってよ!】
・ ティッシュの買い置きがなくなったのを見て「ティッシュないんだけど」
・ 休日夫のみ昼寝。起きてすぐに「お風呂ためた?」
・雨が降ってきたのに気がついて「早くしないと洗濯物濡れるよ」
【上から目線はやめて!】
・迷っていることを相談したら「そんなのこうすればいいじゃん」
・まだ話の途中なのに「結局○○なんでしょ?」
・時間までに準備ができなかったときに「ほんと、段取り悪いよな」
関連書籍
家族を笑顔にする パパ入門ガイド(池田書店)
「今は仕事が大事だから、子育てはママに任せて…」と思っていると、子どもはあっという間に成長してしまいます。子育てという一大プロジェクトを思いっきり楽しむために、日本最大級のパパ団体が、ノウハウを総動員し、「笑っている父親になるための極意」をまとめました。