子どものワガママにイラッとしなくなる「親の共感テクニック」

伊藤徳馬

早く出かけたいときに限って……

次に「復唱」の練習です。

近所のスーパーに買い物に行く際に、太郎くんが「サメの人形を持っていきたい!」と主張し、玄関に人形を持ってきました。ママとしては、サメを持っていくのはNGで、早く出かけたいと思っています。

ママも気持ちに余裕があれば「共感」で対応できるのですが、今回は「早く出かけたいし、人形を持っていったら結局、ママの持ち物が増えるだけじゃん」という思いが大きく、共感はできそうにありません。

ではこの場面で、子どもが言ったままのことを「~なんだね」と繰り返す復唱を使いながら、シンプルに対応をしてみてください。

こう言えたらOK!
[ 気持ちに理解を示す(復唱)]
サメの人形を持っていきたいんだね。ねー……。
[ 代わりの行動] まあさ、今日は、サメは玄関に置いて出かけよう。

トライアンドエラーを重ねていく

復唱することで、ちょっとは「あなたの話を聞いてますよ感」が出せますし、子どもの言葉をなぞることで、少しだけ子どもの視点に立つことができる場合があります。

おまけに、復唱している間に「何を話そうかなぁ」と考える時間もつくれます。

今の例を復唱なしで対応すると、こんな感じになります。

太郎「サメの人形を持っていきたい!」
ママ「まあさ、今日は、サメは玄関に置いておこう」

少しだけ唐突感が上がりますよね。この後の太郎くんの「いやっ! 持っていく!」という反発の可能性を考えると、復唱があったほうがマシな予感はします。

あくまでもマシという程度ですが、子どもが言ったことを口先でそのまま復唱するだけで、反発の可能性を少しでも下げられるのであれば、コスパとしては結構お得です。

あと、青カード全般に言える超大事なことがあります。どのカードも子どもによって、場面によって、使えたり使えなかったりします。

今の「気持ちに理解を示す」も、「○○したいんだよねー」と共感することで子どもに余計に火がついて「○○したい~」と大騒ぎになる可能性もあります。

どんなやり方も「すべての場面で誰にでも効果がある」なんてことはなく、トライアンドエラーで「うちの子はこういう場面でこれを使うとうまくいくなあ」と積み上げていくしかありません。スポーツとおんなじです。

ちょっとずつうまくいく頻度を上げていけば、それでOKです。

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