子どもの「相手の気持ちを察する力」を育てる親の3つの質問
自由と権利、そして自己責任とは何だろう?
【質問1】1日中、トイレもお風呂も寝るときもずっと監視されているけれども、何かあったらすぐに助けてくれる監視社会と、いつどこでどんな凶悪犯罪や事故に巻き込まれて死んでしまうかわからない自由な社会だったら、どちらで生活したい?
今では、あちこちに防犯カメラが設置されています。また、個人情報に関する問題もつねに議論されています。一方、何の罪もない人がある日、強盗に襲われ殺されるなどという凶悪犯罪も増加しています。
どちらかというと、自由だけれども、いつ凶悪な犯罪や事故に巻き込まれるかわからない生活のほうが私たちの今の状態に近いかと思います。
「自分はそんな不幸に見舞われるわけないよ」と多くの人が頭の隅で考えているかもしれません。しかし、犯罪や事故、または天災で亡くなった方やご遺族もまた、私たちと同じように感じていたのではないかと想像します。
とはいえ、あまりにも神経質に起こってもいない不幸に怯えて暮らすのも考えものです。
また、監視カメラはそんなになかったにせよ、かつての日本は政府や戦争についての批判を言った者は「非国民」と言われ、場合によっては逮捕され、拷問され、殺されました。
その意味でこの質問は、自由と権利、そして自己責任という重たいテーマをあえて想像させてみる質問です。
自由や権利には責任や義務が伴うものでもあることに考えをめぐらせるように導きましょう。
人の命の重みについて考えてみる
【質問2】宇宙人が地球を征服しました。地球人の生体を知るために、生きたまま解剖する人を3人差し出せば、それ以外の人たちの安全は保障すると言っています。それぞれが意見を言わなくてはならなくなりました。あなたは、何と言う?
大勢の人たちの安全を守るために、3人の命を犠牲にしなくてはならない。それも生きたまま解剖するという、とても恐ろしい提案です。
でも、これはちょっと考えると、「戦争って、大勢の人の利益や命を守るために一部の兵士が犠牲になることじゃないの?」ということに思い至りませんか?
さらには、ウクライナのように兵士でもない一般市民が戦争に巻き込まれて、悲惨な死を遂げることもたくさんあります。
しかし、この質問では、地球人全部の命の安全と引き換えに犠牲になるのは3人です。
この3人という数をどう考えるか? また、たとえ1人であったとしても、大勢のためにその人を犠牲にすることは許されるのか? あるいは、その3人はどうやって決めるのか?
「それは絶対3人に犠牲になってもらうよ」と言ったら、「でも、その3人の中に家族の誰かが選ばれたら?」などと聞き返してみてください。
3人の犠牲者の思いや、誰も犠牲にしない方法などを想像してみることで、さまざまな答えがあると気づくことでしょう。
大切な人と別れるときはどんな気持ちになる?
【質問3】無人島でこれから一生、生活しなければならなくなったとして、誰か1人だけ連れていけるとしたら、誰を選ぶ?
ユーモアのあるお子さんは、「ドラえもん。『どこでもドア』で家に帰してもらう」などと答えそうです。
もちろん、そのような答えもOKですが、その場合には、もう1つ、「現実にいる人で」という条件のもとで答えを考えさせてください。
「お母さん!」「お父さん!」などと答えてくれたら、親としては嬉しいでしょうが、「でも、先に死んじゃうよ」など、問題を提起してもいいかもしれません。「ママは、○○ちゃんを連れて行きたいなあ」と言ってみて、お子さんの反応を見るのもいいでしょう。
大好きなママと一緒にいられるのは嬉しいけれども、何しろ無人島です。お子さんは、ママに指名されたときのことも想像してみるでしょう。
大好きな人を連れて行くか? それとも役に立つ人を連れて行くか? 迷うところです。
「お医者さん」などは病気になったときに安心でしょうし、「船をつくる職人さん」だと、もしかすると、無人島の木を使って、船をつくってくれるかもしれません。
ぜひ、このように発想を広げていくお手伝いをしてあげてほしいと思います。
衣食住はもちろんのこと、精神的な支えだとか、帰還できる可能性、家族とお別れする気持ちなども想像できると、なおいいでしょう。
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