「うちの子は性格が悪い」と親が思い込んでいませんか? いい子に育てるため「言葉の選び方」

中垣俊子


「うちの子は、いい性格とはとても言えない…」そう思ってはいませんか? 子どもがもつ、「いい性格」に育つ芽をうまく伸ばしてあげましょう! 


※本稿は『PHPのびのび子育て』2021年2月号から一部抜粋・編集したものです。

中垣俊子(心理カウンセリングルームコルネット主宰)
認定心理士。個人相談や地方自治体での親子関係講座、心理カウンセラーの育成などを行なう。著書に、『子どもが伸びるいいわがまま 心を荒らすわるいわがまま』(PHP研究所)などがある。

どの子もいい性格に育つ芽をもっている

幼い子どもの性格はまだ定まっていませんから、その後の経験や周囲からの刺激によって変化していきます。どの子も、いい性格に育つ芽をもっていると言ってよいでしょう。

いい性格と言ってもいろいろあります。おっとりしていて優しい性格だったり、活発で何にでも興味をもったり、負けず嫌いの頑張り屋だったりなど、それぞれその子らしさを活かした、いい性格があります。

一方、共通点もあります。それは、親の言うことをよく聞く”いい子”とはちょっと違うということです。

積極性がある子、自分で考える力がある子、のびのびと大らかな子などは、親の言うことにすんなりと従わないことがあります。いい性格ゆえに、手がかかることもあるのです。

未熟さを「わるい性格」ととらえない

また、子どもたちには、まだ未熟な部分がたくさんあります。子どもの未熟さを”わるい性格”と勘違いしないように注意しましょう。

たとえば、1歳台の子がアリなどを潰して面白がっていたり、2歳半頃からのイヤイヤ期に反抗的になったりなどは、誰にでもある一過性のものです。

子どもたちが、ものごとを素直に受け止め、いろいろなものに興味をもち、自分の能力を伸ばして、人生を思う存分味わえるよう、サポートしていきましょう。

おっとりして安定している子

【あまり急がせず、その子のペースを優先して】
スピードはゆっくりだけれど、情緒的に安定しているタイプです。

急ぐのは苦手なので、それにイライラするお母さんも多いと思いますが、学校に通うようになって、自分で支度をしたり、みんなと一緒に行動するようになったりすることで、次第に周囲とのタイミングがあってくると思います。それまで、この子の大物ぶりを楽しみましょう。

もし、おっとりだけれど神経質というお子さんがいれば、急いで行動するのが負担になっているのかもしれません。幼児期はあまり急がせずにその子のペースでできるよう、外出の準備やお片付けなどを今までより10分早く始めるよう工夫すると良いでしょう。

いずれにしても、「おっとり」は、落ち着いて穏やかないい性格と言えるでしょう。

ほがらかでお話し上手な子

【話をよく理解し、責任感がもてるように】
言葉がたくみで、楽しくお話しするのが大好きなタイプです。理解力が高く、こちらの言うこともよく伝わりますから、お使いなども安心して頼めます。

一方で、その賢さゆえに、うそをつく傾向が見られることもあります。4歳未満の、見栄張り、知ったかぶり、誇張した自慢話、などのうそは、あまり気にすることはないかと思います。

ただ5歳をすぎて、自分のやったまずい行動をごまかしたり、人のせいにしたり、ズルをするなどが見られたら、他のお友だちにも話を聞いて事実を確かめたり、正直に話すことはとても勇気があって強いことだと伝えていきましょう。きっとよく理解してくれるはずです。

そして、外交的で責任感のあるいい性格になっていくと思います。

パワフルで頑張り屋な子

【結果ではなく取り組み方を認めてあげる】
勉強や運動など、自分の好きなことや先生からの課題などに素直に取り組み、頑張ることができる優等生タイプです。お友だちの面倒を見るのも上手かもしれません。

こうした子は成長するにつれ、失敗を恐れる傾向が見られたり、頑張りすぎて辛くなったりすることがあります。そのため、幼いときから親が結果にあまりこだわらないことが大切です。

子どもが優秀だと、つい、1番だった、上手にできた、みんなより~だったとほめたくなるものです。

しかし、そうした結果ではなく、最後まで頑張った、たくさん練習した、工夫して取り組んだなどの、取り組み方を認めていくと、子どもは負担を感じずに、素直にそして意欲的に自らの能力を伸ばしていくことができるでしょう。

好きなことに集中できる子

【できる限り思い通りにやらせてあげよう!】
好きなことに集中すると、時間を忘れるほどの集中力を発揮するタイプです。集中力の高さは、将来あきらめずに何かを成し遂げる力となります。

ただし、没頭してしまうとどうにも動かなくなるので、周囲の大人はちょっと手を焼くこともあるでしょう。

また、みんなと一緒に行動するのが苦手だったり、お友だちづきあいへの心配もあるかと思いますが、幼児期では、状況が許すかぎり、思い通りにやらせてあげて欲しいと思います。

そのかわり、日常的に人との関わりを増やしましょう。お母さんのお手伝いや、お友だちと遊ぶなど、人や動物などとのつきあいを増やすと、情緒的な発達がうながされ、相手の気持ちや思いやりなども同時に育っていくでしょう。