家族の会話が育てる「子どもの語彙力」 親が知っておきたい声かけのコツとは?
声かけが詰問にならないようにする
また、子どもが何か失敗してしまった時。提出物が遅れて先生に叱られた、友だちにケガをさせてしまったなど、子どもに過失がある時に、「どうしてそんなことしたの?」と聞きがちですよね。この質問は“詰問”になってしまい、子どもを委縮させてしまいます。
こんな時に齋藤孝さんがおすすめするのが、「どうしてそんなことになっちゃったの?」という声かけ。
親が知りたいのは理由なので、「どうして」はいいとしても、「そんなことをした(他動詞)」と「そんなことになっちゃった(自動詞)」では、子どもの受け取り方が変わります。前者は子どもの行動を問うものですが、後者は状況を問うもの。行動を問われると視点は自分に向きますが、状況を問われたら客観的な視点が持てます。つまり、「なっちゃった」と言えば、その状況を等距離から一緒に眺めるような印象になるのです。
すると子どもは冷静になって考えることができ、事の経緯を説明できるようになります。経緯を説明する言葉を考えることで、子どもの語彙力UPにも繋がります。
普段から、親が子どもにどんな声かけをしているかは、もしかしたら勉強以上に重要なのかもしれません。声かけは習慣なので、子どもの語彙力を憂う前に、親の声かけの習慣を見直すのも一考でしょう。
1つの答えを要求しない
もう一つ、習慣にしたい声かけを紹介します。子どもに「大人になったら何になりたい?」「将来の夢は?」と聞いて、「別に」とか「会社員」といった通り一遍の答えが返ってきたことはありませんか?
「今の子は、夢がないなぁ」……と言っている場合ではありません。子どもは1つの答えを要求すると、いつも言っていること、言いやすいことで答えてしまうそう。つまり、普通に聞くと普通の答えしか返って来ないということ。
夢や目標はいくつあってもいいものなので、「何でもいいから、今思いついているもの全部言ってみて!」と聞くことで、「何かあったかも」と頭が働き出します。この「頭が働き出す」というのがポイントで、知識や情報が頭の中にあってもそれを使いこなせなければ宝の持ちぐされ。頭が働き出すことで、頭の中にあるものの中から適切なものを取り出して外に出すことができるのです。齋藤さんはこれを”アウトプット力”と言い、思いついたことを全部言う訓練をすることでこの力が身につくと言います。
本やドリルを買わなくても、「勉強しなさい!」と言わなくても、語彙力は普段の会話の中でコツコツと積み重ねていくことができます。
会話が深く、面白いものになる「考える力を育む声かけ」は、親子関係もよりよくしてくれそうです。
関連書籍
親子で楽しく考える力が身につく! 子どもの語彙力の育て方(KADOKAWA)
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