「隠れADHD」も…なぜ増えた? 発達障害の子はクラスに3人いる現状

加藤俊徳
2023.11.08 17:44 2023.11.21 07:00

女の子に「隠れADHD」が多い理由

小学生の女の子

デンマークのダルスガードらの研究によると、ADHDでは、女の子のほうが9年間も発見が遅れるとされています。男の子は最初の受診が平均すると8歳なのに対し、女の子は17歳となっています。これだけの開きがあるのは、なぜだと思いますか?

――女の子に目立つ症状が出にくいからでしょうか…?

はい、男の子のADHDに出やすい「多動」は目に見えてわかりますし、問題になりやすい。授業中に教室をウロチョロしたり、落ち着いて授業を受けられなかったりすると、先生も問題視しますよね。それに比べて、女の子のADHDは「多動」が少なく、「注意欠陥」が多いことが目立ちます。そうなると、おとなしく授業を受けてくれるので、学校での問題が大きくなりづらいのです。

――なぜ、女の子は17歳ごろになって受診するのですか?

注意欠陥が招く問題、たとえば「ケアレスミス」だとか「忘れ物」「約束を忘れる」など、幼いころには「まだ小さいから」と許されることも多いです。ですが、大きくなってきてもまだ「自発性に乏しい」「自分が積極的に人に話しかけることはない」「受験の日に受験票を忘れる」などが出てきてしまうと、人間関係や生活面に大きく影響してきます。

――社会に出てから必要な力が足りないことで、社会に出る時期になって「困りごと」が出てきていまうんですね。

そのとおりです。その意味では、女の子に「隠れたADHD脳」が多く、早期にサポートを受けられない現状があります。本人のなかでは「ずっと困っている」んですから、本当はもっと早く気づいてあげて、相談に乗ったり、生活しやすいようにサポートしてあげることが必要なのだと感じます。

加藤俊徳

加藤俊徳

新潟県生まれ。脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。 株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニングの提唱者。小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。

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