東大生へのアンケートから判明した「自ら勉強する子の親」の特徴

東大カルぺ・ディエム、西岡壱誠

なかなか勉強しない子どもにイライラ…つい怒鳴ってしまった経験のある親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか? なかなか勉強にやる気を見せない子どもを見守るのは親にとってもどかしいもの。しかし、頭ごなしに叱っても状況は改善しません。本稿では現役東大生75人へのアンケート結果から見えた「毎日勉強する子」を育てるために重要な親の態度について紹介します。

※本稿は東大カルぺ・ディエム(著)、西岡 壱誠 (監修)『自分から勉強する子の家庭の習慣』(すばる舎)から一部抜粋・編集したものです

東大カルぺ・ディエム
2020年6月、西岡壱誠を代表として株式会社カルペ・ディエムを設立。西岡を中心に、家庭の事情で週3日バイトしながら合格した人や地方公立高校で東大模試1位になった人など、多くの「逆転合格」を果たした現役東大生が集い、日々教育業界の革新のために活動中。毎年300人以上の東大生を調査し、多くの画期的な勉強法を生み出している。

勉強していなくても、責めずに聞く

「勉強しなさい」と子どもに言ったら、反発されたという経験はありませんか? テスト前に勉強しないで遊んでばかりいるため注意したら、「今やろうと思ってたのに!」とふてくされて勉強しなくなった……。こんな状況を避けるには、どうすればいいのでしょうか?

【悩み】注意すると、ふてくされる

【解決策】「勉強しなくても、大丈夫な日なの?」と聞く

・子どもなりの理由や勝算がある
「勉強しなさい」と言われた東大生は比較的少ない一方、勉強に関して言及されることは日常的にあった(毎日~週1回以上)という東大生が50.6%でした。

親の声がけの内容は、「勉強、大丈夫?」という形で声をかけられた経験がある東大生が一定数いました。勉強していない姿を見て、その理由や事情などを聞かずに頭ごなしに勉強を促すのではなく、「勉強しない理由」を聞いてしっかり理解しようとしているわけです。

例えば、「日々勉強を繰り返しているから、テスト前に慌てて勉強する必要はない」という場合や「得意分野なので、復習をサッとすれば大丈夫」という場合だってあります。 勉強していないように見えても、子どもの中では何らかの考えがあってのことで、サボって勉強を放棄しているとは限りません。

くれぐれも「勉強してないでしょ!」と決めつけるのは避けてほしいです。


・普通の会話をするように聞き、責めないことが大事
子どもが勉強していない姿を見たときは、「叱るようにではなく、日常会話として聞く」これをお勧めします。イライラした気持ちを出さずに普通に聞くのは難しいですが、非常に重要なポイントです。

例えば、子どもが家に帰ってきたとき「手は洗った?」と確認しますよね?

このとき「洗ってないでしょ!」と叱りたいわけではなく、「洗わないと不潔だし、風邪を引いたりするかもしれないよ」と心配して聞くわけですよね。

それと同じくらいのテンションで、「今日は勉強しなくても大丈夫な日なの?」と聞いてみてください。こういう声かけをすることで、子どもも責められているとは感じないため、やる気をなくさずにすむのです。

親からすれば普通に心配しているだけなのに、子どもは勉強の話をされただけで「お叱り」だと感じることがあります。特に日頃から、叱るクセがある親御さんはデリケートになっているお子さんの気持ちを考えて、会話をしてあげてほしいです。

【まとめ】
・叱るのではなく、子どもの「考え」を聞く
・「勉強しなさい」と言われてきた東大生は少ない

【東大生の声】
・「勉強しなさい」とは、たぶん言われたことがないと思います。中学生のとき、定期テスト直前なのに全然勉強していない様子を見て、「大丈夫?」と聞かれましたが、それ以外はありませんでした。
・「勉強しなくていいの?」と聞かれた。正当な理由があればそれ以上は追及してこなかった。
・親は勉強を強制するような態度はとらず、むしろ自ら読書をするなど、子どもに勉強している姿勢を見せていたような気がする。

こんな「親の姿」を見ると、進んで勉強するようになる!

小さい子が自分から進んで勉強をすることは、なかなかありませんが、中学生になっても「勉強しなさい!」とは言いたくないですよね。どうすれば自分から勉強する子に育つのでしょうか?

【悩み】自分から進んで勉強してほしい

【解決策】親が勉強する姿を見せる

・教科書を一緒に読んで面白がったり、好きな本の話をしたりする
私たちが声を大にして言いたいのは、「親自身が勉強を楽しむ姿を見せてほしい!」ということです。ほんの些細なことでかまいません。

例えば、教科書を一緒に読んで「へぇ、そういえばそうだったなあ」「あ、こんなことまで小学校で習うんだ! なるほど、面白いなぁ」なんて一緒に勉強を楽しんでくれたら嬉しいです。

現に、こんなふうに関わってもらった東大生たちは、親に「勉強しなさい」と言われなくても、自然と自分から勉強するようになったと話しています。

「本を読みなさい!」と子どもに言うのではなく、「あ、この本面白かったから、一緒に読まない?」と言われたほうが、「読んでみようかな」という気持ちにもなるんです。

そういう接し方をしていると、今度は子どもの方から、「ねえ、今日学校でこんなこと習ったんだけど、これ面白くない?」「こんなことが本に書いてあったんだけど、びっくりするよね!」と勉強の話をシェアしたくなります。

こんなふうに日常会話で勉強の話が当たり前に出てくるようになれば、子どもは親に言われなくても勉強するようになります。


・子どもは、親の姿勢をまねる
勉強を好きになってほしい、という親御さんは多いと思いますが、みなさんは子どもの頃、「勉強しなさい!」と言われたことはありませんでしたか?

そのとき、やる気になりましたか? 本当は、どんなふうに関わってほしかったですか?

子どもは親の背中を見て育ちますよね。だからこそ、少しでもいいので、子どもが勉強していることに関心を持ってあげてください。また、親御さん自身が楽しめる分野を見つけて、打ち込んでいる姿を見せてあげてください。

すぐできるのは読書をすることではないでしょうか。読書をしながら子どもと一緒に過ごすだけで「勉強は自発的にするもの、自分のためにやるもの」という意識づけにつながるのではないかと思います。

【まとめ】
・子どもが勉強していることに関心を持つ
・親が勉強している姿を子どもに見せる

【東大生の声】
・両親は自分が幼い頃から、よく勉強をしたり、仕事で論文の執筆などをしていた。その姿に感化されて、勉強をするモチベーションになった。
・両親が本好きで家に本がたくさんありました。両親が本を読んだり、書き物をしたりする姿を見て、読書や勉強への抵抗がとても少なくなったと感じています。
・中学受験の勉強をしているときに、毎朝、親が隣で一緒に勉強してくれたのはモチベーション維持に役立ったと思っています(今思えばただ本を読んでいただけかもしれませんが)。

関連書籍


「自分から勉強する子」の家庭の習慣(すばる舎)

現役東大生75人にアンケートを取り、その結果を元に私たち東大カルペ・ディエムなりの考察を加えて、「どうしたら子どもがやる気になるのか?」「どうしたら自分から勉強するようになるのか?」、その秘訣を探りました。現役東大生ならではの「これがよかった!」「役立った!」という「生の声」をたくさんお伝えするので、読者の皆様のご家庭でも、必ずや役立つものが見つかるはずです。