子どもに「発達障害のような症状」が…脳内科医が指摘する睡眠の問題

加藤俊徳

日中に「脳が覚醒していない」ことが大きな問題

――覚醒? 目が覚めているということですか?

脳が覚醒しているかどうか、ということです。発達障害のような症状を呈している場合、体が起きていても、脳の覚醒が低いことが多いです。つまり日中も「ボーッと」してしまうということ。

――注意不足になりやすいのは、脳がボーッとしているからなんですね。

そうです。また、脳の覚醒が低いことで、なんとか起きよう(脳の覚醒を高めよう)として、刺激のあるものや刺激を得られるてっとり速い行動を求めてしまいます。スマホやゲーム、youtubeに依存する子どもたちはみな脳の覚醒を求めていると考えることもできます。
大人の発達障害の人が刺激の強い体験を求めたり、ギャンブルやアルコールなどの依存になりやすいのは、これらの「脳覚醒の低さ」が影響していると考えられます。多動も、「体を動かすことで、脳を起こそう」としているとも考えられます。刺激がないと脳がはたらかず、眠くなってしまうんです。

発達凸凹の子は、大器晩成型

――発達障害のような症状が出ることに複数の原因があることはわかりました。もう1つの「脳が個性的に成長していくことが考えられていない」というのは、どういうことなのでしょうか。

脳の凸凹は、健常な発達の人にも当然存在します。発達凸凹タイプの子どもがは非常に高低差が大きいため、「すごいところは、とにかくすごい」「ダメなところは、悲しいくらいできない」と、できること・できないことの差が目立ちやすいのです。
ですが、脳は経験を積み重ねれば成長します。子どもだけでなく、大人も、お年寄りだって成長します。「この子はこれができない子なんだ」と決めつけてしまうことくらい、悲しいことはありません。強い部分はもちろんどんどん成長させられますが、弱い部分だって成長はできます。ただ、成長する順番や成長しやすい時期が異なるだけなのです。



――その子のことを、「ダメな子」と決めつけてはいけない?

できることを褒めて、喜んであげることはもちろん構いません。どんどん出来る事や強みを褒めてあげてください。いちばんマズいのは、できないことを繰り返し指摘して、子どもの自己肯定感を下げることです。私は30年以上脳の研究に関わってきましたが、私にも想像がつかなかったくらい、脳にはすごい可能性が秘められています。昔は年をとれば脳は成長しないと言われましたが、今やそんな言説は非常識になっています。

――そうなのですね。子どもならなおさら成長するかもしれませんね。

はい、子どもの成長はめまぐるしく、予想がつきません。保護者のみなさんは、発達凸凹のある子の脳の成長を信じてあげてください。発達凸凹の子は遅咲きのケースが多いですから、人よりも少し時間がかかるかもしれません。でも、きっとできるようになります。子どもの気持ちに寄り添い続け、大器晩成を信じて楽しみに育てていきましょう。

相談するなら「子どものプロ」に

――ありがとうございます。生活習慣は改善していきたいと思います。とはいえ、子育てをしていると、一人で不安になってしまうこともあります。どうしても不安だったら、病院に相談しに行ってもいいですか?

もちろんいいですよ。ただ、まずは学校の先⽣と子どもの状況を共有してくださ い。家では見えていない事や、学校では現れていない症状がより明らかになります。それでも困りごとや不安が拭えなければ、⼩児科に相談しましょう。

――心の問題なら、精神科などではないのですか?

⼼療内科や精神科などに相談する⽅もいるのですが、現れている症状に は、さまざまな原因があるため、眼、耳、鼻腔、睡眠など専⾨分野以外の⾯も全般的にみる必要があります。その場合、⼩児科の先⽣は「⼦どもを全般的にみるプロ」ですから、相談するのには最適です。発達障害専⾨の⼩児科ならなおよいで す。よい相談相⼿を探して、少しでも安⼼な育児をしてください。

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「いつも部屋が片付かず、グチャグチャ…」「また忘れ物をしたの?」「なぜいつも場を凍らせるのかしら?」。発達に凸凹のあるお子さんをお持ちの方は、毎日こんなことを考えているのではないでしょうか。でも、大丈夫! これらの困りごとは、見方を変えればすべて「強み」になるのです。1万人の脳画像を見て、30年以上発達凸凹の子を含む子どもたちを診てきたDr.加藤が、脳から見た強み・弱みを解説。あなたのお子さんの弱みを改善し、強みをさらに伸ばすコツを教えます。『透明なゆりかご』の著者であり、ADHDとASDを持つ漫画家の沖田×華さんも「 誰に怒られても答えを見つけられなかった私が、子どものとき一番ほしかった教科書です。」と絶賛!