発達障害の子どもだけではない…親まで自己肯定感が下がってしまう理由

加藤俊徳

発達障害の子どもとその親は、深く傷ついている

発達障害の子どもを持つお父さん、お母さんは、本当に傷ついています。

わが子のよいところ、できることを知っているのに、まわりから「困った子」という烙印を押されて、その火消しをずっとしていると、親御さんも疲れてしまうんです。

いつしか「うちの子にいいところなんてあったかな…」という考えになってしまいます。私から見れば、できること、強みはたくさんあるのにと見えます。

――だから、この本では「できること」や「強み」を強調しているんですね。

脳は何度も言われたことが「事実」として認識してしまうクセがあります。いつもいつも「これができない」「困った子」と言われていたら、親子ともに「ダメな子なんだ」とどんどん強調して認識してしまいます。

これを放置しておけば、その子が持っている「できること」も「するチャンスが無くなる」そして、できなくなってしまうんです。

――できることまで、できなくなる? それは、こわいですね…。どうすれば、発達凸凹のある子どもを伸ばしてあげられるのでしょうか?

ですから、親御さんにはぜひお子さんの「できること」に注目して、そこを応援してあげてもらいたいのです。できることを9回褒めて、できないことは1回指摘するくらいにとどめてください。これを「9対1の法則」と呼んでいて、自信をなくしたお子さんの自信を取り戻すのに、てきめんに効果があります。

――できることを最大限ほめてあげて、できないことには片目をつむるくらいでよいんですね。

発達凸凹の子は、ただでさえ日常生活の中でほめられていません。いつも注意を受けるので身構えています。さらに、怒られる、からかわれる……辛い思いを頻繁にしています。
ご家庭の中では、過剰なくらい強みやできることをほめてあげてもよいと思います。「あなたはできるんだよ」と、たくさん肯定的な言葉の栄養をあげてほしいですね。

本でも繰り返しお話しましたが、脳は日々成長しています。子どもであればなおさらです。今は「できないこと」もゆっくり成長して、できるようになっていきます。それまではどうか「強み」をほめて、伸ばしてあげてください。どんなお子さんにも「41種類の個性」のどれかを強みとして持っているはずです。

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