家事育児はママの仕事?「何もしない夫」への賢い対処法とは
夫は家事育児に非協力的で、子育ての負担は自分ばかりが大きい……。そんな不満を抱えているママも少なくないようです。もしくはその逆のパターンもあるかもしれません。
そんなパートナーへの不満やイライラを解消するためヒントを、子育てアドバイザーの高祖常子さんがお伝えします。
※本稿は高祖 常子著『こんなときどうしたらいいの? 感情的にならない子育て』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。
夫が子どもに命令口調で接する
仕事の都合で平日まったく娘と会わないパパ。休日くらいお世話して欲しいのですが、口で「歯磨きしろ」「風呂に入れ」と指示するだけで、パパ自身は手伝わず、遠回しに私に命令している状態です。できないから、という理由で娘が生まれてからずっとその態度を改めず、4歳の娘からもふれあいを拒絶されています。私は娘のおかげで母親になれましたが、パパは父親になりきれていません……。(4歳女の子)
パパへの対応も、小さな階段から
子どもと接する時間が少なく、「関わり方がわからないまま、子どもはもう4歳」という感じでしょうか。このままだと、子どもとパパの関係もよくならず、パパも自宅での居心地が悪くなるような気がします。
「どんな家族でありたいか」ということを、パパと一度ゆっくり話してみてはどうでしょうか。子どもが眠ったあとに、ゆっくり時間が取れればいいですが、それが難しければ、週末などに子どもを祖父母に見ていてもらったり、友だちのお宅で遊ばせてもらったりしているときにゆっくり話してみましょう。
そのうえで、子どもとの関わりを、得意そうなものから1つずつ、方法を伝えてやってみてもらいましょう。ママも子どもとの関わりはなんでも初めてだったはず。でもパパは、平日は夜遅い帰宅で、週末はママのサポートになってしまっているため、子どもとの関わり方がわからないのでしょう。
たとえば、歯磨きはまだ仕上げ磨きを親がやっているでしょうから、ママが仕上げ磨きをしているところを見てもらって、注意点をアドバイスして、パパにもやってもらうという感じです。
歯磨きでなくてもいいですが、1つずつできるようになると、パパオリジナルの方法(たとえば楽しく声をかけながらとか、歌いながらとか)でやってくれるようになったりして、子どもとの関係も変わってくると思います。
手の抜き方がわからず、夫とは毎晩けんか
家事・育児・仕事、手の抜き方がわからなくて、というか「手を抜くのはダメなこと」「人に頼むのは悪!」っていう思いが強かったんです。その結果、仕事ばかりの主人とは毎晩けんかだし、うつになりそうです。(3歳男の子、1歳女の子)
手を抜ける家事を見つける
「家事などの手の抜き方がわからない」というママも少なくありません。手を抜くと余計に気になって、イライラしてしまったり、「こんなふうに手を抜いていいのか。自分が楽をしていないか」と自己嫌悪に陥ってしまったり……。
そんなときは、家事を分けて見ていきましょう。自分がどうしても手放せない家事、こだわりが強い家事をリストアップするのです。たとえば、料理がもともと好きで、料理することがリフレッシュにもなっている場合は、料理の手を抜くとそれがストレスになってしまいます。そのような場合は、こだわりのない家事の負担を軽減する工夫をしましょう。たとえば皿洗いなら食洗機を利用するとか、掃除はロボット掃除機を利用するなどです。
また、買い物は週末にまとめ買いをしたり、宅配を活用したりするなどの方法もあるでしょう。
パートナーに相談しよう
仕事ばかりのパートナーにも、家族との時間をもうちょっと取れるようにする方法がないか、相談してみましょう。パパ自身があとで振り返ったときに、子どもとほとんど過ごしていなかったり、家族と会話がなかったりするのは、とても寂しいことではないでしょうか。
ママが言ってもなかなか聞いてくれない場合、ご近所の子育てに積極的なパパの家族と、一緒にランチをしたり、ピクニックに行ったりするのもおすすめです。 パパ同士で仲良くなってもらって、友だちパパの考え方や、子どもへの関わり方に刺激を受けてもらう作戦です。
また、パパ講座を行っている自治体も増えてきました。パパの意識改革、パパスイッチが入るのはいつからでも遅くありません。
パパ講座はママが申し込みすることも多いので、見つけたらぜひパパに受講をすすめてみましょう。
夫がイライラする私に近づきたくないオーラを出す
夫はイライラしている私に近づきたくないオーラを出すので、それを察してさらにイライラ。あまりにカーッときて自分でも驚きましたが手を出したい衝動を感じたので、本に書いてあったことを思い出し、その場を離れないとダメだと思って、一度、家の外に出たことがあります。子どもが泣きながら追いかけてきたので、少し頭を冷やして(といっても数十秒のレベルですが)から家に入りました。(2歳女の子)
夫にどう対応して欲しいかを、あらかじめ伝えておく
イライラして子どもに手を出したくなる衝動を感じて、その場から離れたのはよかったと思います。ただし、そのときには、「ママはイライラしているから、ちょっとトイレに行くけど、すぐ戻るね」などと、子どもに状況を伝えましょう。黙っていなくなると、子どもは不安になります。
個人差はありますが、男性の場合はイライラしているときに、そっとしておいて欲しいという人が多いよう。女性の場合は、バーッとしゃべったほうがすっきりする傾向もあるようです。
ママ自身のイライラを言葉にしましょう。パパにはあらかじめ、「私がイライラしているときには、どうしたの? って声をかけて」と伝えておくといいですね。イライラしているときに、そっとしておいて欲しいという人もいますし、イライラについて話したほうがすっきりする場合もあります。「どうしたの? って声をかけてくれても、今はそっとしておいてと言ったら、そっとしておいて欲しい」などと伝えておきましょう。
パートナーへのイライラ対処法まとめ
・夫は別の人間、具体的に伝えよう
「ママは機嫌が悪い」とパパは雰囲気をキャッチするけれど、理由を伝えないとわからない。「あなたはなぜわかってくれないの?」と責めるのではなく、I(私)メッセージでたとえば、「私は◯◯にイライラしている」と伝える。
・できないことにイラ立つより、教えよう
たとえばママが子どもの世話を主体的にしていれば、おむつ替えや、子どもをあやすのもママのほうが上手。それは何度も経験しているから。パパにもポイントを伝えてお世話を経験してもらって、慣れてもらおう。
・夫婦会議をしよう
共働きの家庭でも専業主婦の家庭でも、バタバタする朝や夜の役割分担や家事育児のシェアを、どのようにするのかを、夫婦で相談するようにしよう。うまくいかなければ、適宜入れ替えを。
関連書籍
こんなときどうしたらいいの? 感情的にならない子育て(かんき出版 )
メディアに話題になった『イラストでわかる 感情的にならない子育て』(2017年)の第2弾。
著者は、前作同様「どならない、たたかない子育て」を推進し、4万6000人のママとパパにアドバイスしてきた、子育てアドバイザーの高祖常子さん(育児情報誌miku元編集長)。
セーブ・ザ・チルドレンジャパンの2万人アンケートによると、約6割が子どもへのしつけとして体罰(叩くこと)を容認しているという結果が出ているとのこと。
「毎日イライラ」「たたきそうになった」「どなってばっかり」と自己嫌悪するママやパパに贈る、「子育ての困った」をまるっと解決してくれる1冊です。