子どもの受験の合否にも影響する「塾選びの落とし穴」

塾選編集部

子どもの受験に塾選びはとても重要です。しかし、入塾後に不満やギャップを感じて後悔する保護者も少なくありません。塾選びに失敗しないためには、どのようなことに注意すべきなのでしょうか? 本稿では、日本最大級の塾検索サイト「塾選」を運営する塾選編集部が、子どもを持つ保護者100名を対象にした調査結果をもとに「失敗しない塾選び」のポイントをご紹介します。

入塾後に不満を感じる保護者が多数

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アンケート調査によると、39%の保護者が入塾後に不満やギャップを感じていることが判明しました。主な不満としては、

・担当講師の教え方
・追加料金が高かった
・自習室がうるさかった
・講師が大学生だった
・連絡が遅かったり、返事がかえってこないことがあった
・受験対策に熱心さが見られなかった

などが挙げられました。


また、塾の比較検討を「した」人は、「しなかった」人に比べて、入塾後の不満が「ない」と答えた割合が12%高くなっていました。つまり、入塾前に、塾の比較検討をすることが、塾選びの成功・失敗に影響すると言えそうです。

体験授業が鍵! 失敗を防ぐ3つのポイント

では、塾の比較検討のためにはどのような事をしたら良いのでしょう?

今回の調査結果をみると、「体験授業への参加」が重要であることが判明しました。アンケートによれば、体験授業を受けた人は入塾後の不満が少なかったのです。全体の平均では1.66校の体験授業に参加しており、半数以上の保護者が2校以上の体験授業を経て入塾を決めています。

そして体験授業を受ける際には、以下の3つのポイントに注目することが大切です。

ポイント1:授業の進め方やカリキュラムがあっているか?
授業内容、教材、質問がすぐにできる環境か、宿題量やテストのサイクルは適切か、など、子どもの様子も含めて確認しましょう。教室長や講師に相談し、目的に合った塾を選びましょう。塾に通う目的を踏まえて事前に教室長や講師に確認できるとベストです。

ポイント2:講師のタイプが、自分の子どもに合っているか?
講師の人柄、授業スタイル、指導方法などをチェックしましょう。子どもの性格と相性の良い講師が担当してくれるか、体験授業を担当した講師だけではなく、ほかにはどのようなタイプの講師がいるのかも確認が必要です。

ポイント3:他の生徒の様子や教室の雰囲気はどうか?
集団指導塾では、周りの生徒の影響を受けます。クラスの雰囲気、学習態度、成績順によるクラス変更などを確認しましょう。自習室の雰囲気も重要です。実際に見て、子どもが集中できる環境かどうか確認しましょう。体験授業時に、自習室も見せてもらうことをおすすめします。

目的に合わせた塾選び:中学受験・高校受験・大学受験

【中学受験】
中学受験では小学校では習っていないような問題も出題されるため、学校の授業と家庭学習だけで受験に備えるのは困難です。

塾側も、受験対策か授業理解のための指導かで対応が大きく変わります。塾選びを失敗すると子どもの勉強に悪影響を与えるため、小学生向けの塾選びでは、まず「何のために通うのか」という目的を明確にすることが重要です。

【高校受験】
志望校や学校の難易度、学習状況によって、必要な対策は異なります。基礎学力の強化、苦手科目の克服、応用問題の演習など、目的によって適切な塾は異なります。内申点が合否に関わる地域もありますので、定期テスト対策も重要です。早めに目的と地域性を考慮し、自分に合った塾を選びましょう。

【大学受験】
大学受験では、志望校や入試形式によって対策が大きく異なります。

国公立大学を目指す場合は、一次試験と二次試験の対策が必要です。文系でも理数系科目の受験が必要になる場合もあり、科目数が多いのが特徴です。

私立大学は科目を絞って受験できますが、科目による配点比重などが大学によって異なるため、志望校に合わせた対策が必要です。一般入試以外にも、総合型選抜や推薦入試などがあり、それぞれ異なる対策を要する場合もあります。

これまでご紹介した通り、塾選びは志望校と入試形式を明確にした上で、それぞれの対策に対応できる塾を選ぶことが重要なのです。

中高大別にベストな「塾選びの開始時期」

【中学受験向けの塾選び】
塾選びを考え始めるのは、首都圏や関西の大手集団塾であれば3年生の10月頃からがおすすめです。 塾通いを始めるのは小学校3年生の2月がベストといわれており、そこから通い始めるには3年生の12月~1月頃に行われる入塾テストが必要な塾もあります。その準備なども含めると10月頃から塾を検討しておけると安心です。

【高校受験向けの塾選び】
中学校生活はお子さまによって違いも大きく、一律にいつからがよいというのはむずかしいです。 ただ、それぞれの学年ごとで塾通いを始めやすいタイミングがあるので、その時期に向けて塾を考え始めてみてください。

中学1年生であれば、入学前後のタイミングがおすすめです。入学前後はお子さま自身もやる気が満ち溢れており、新たな環境に慣れていく中で塾も同様にスタートすると、そこまでストレスなく塾通いを始められます。

中学2年生は、授業の難易度も上がり、学習につまずきやすくなる時期です。内容の難しさから授業に身が入らなくなるのを防ぐためにも、中学2年生の夏期講習や冬期講習など長期休みのタイミングで始めるのがよいでしょう。

中学3年生から塾に通い始めるのであれば、部活動を引退してすぐのタイミングがおすすめです。それまで部活動などに夢中になっていたお子さまであれば、今まで部活などに割いていた時間を塾での勉強時間に切り替えやすくなります。

【大学受験向けの塾選び】
大学受験では志望校ごとの対策が必要になり、国公立を目指すのであれば受験の科目数が多くなります。 志望校にもよりますが、早い時期から塾選びを考え始めることをおすすめします。 最初におすすめする時期は、高校1年の夏頃です。

高校の授業は中学の内容からさらに難しくなり、この時期で科目により習熟度に差が出てきます。苦手科目を作らないためにも、この時期から塾に通い始めると安心です。

次に、高校2年生の夏頃です。この頃には志望校も見えてくるお子さまもいると思いますが、特に国公立を目指すのであれば高校2年生の夏には対策を始めておきたいところです。

塾選びに失敗してしまった時は…

「塾選びに失敗した」と感じたときには、まず「なぜ失敗したと感じているのか?」を検討することをおすすめします。失敗したと感じる大きな要因として、「当初考えていた成果につながっていない」ということがあげられると思います。どんな成果を期待しているのか、その成果を妨げているものは何なのかをお子さまも交えて考えてみてください。

そしてまずは、率直に失敗したと感じている状況を、通っている塾の校長や担当者と話してみてください。指導スタイルや親の関わり方、子どもへのケアなど改善できることがあるかもしれません。その原因次第では、今の塾を継続することもあれば、他の塾を併用するなどの選択肢もあるかもしれません。

ただ、どうしても改善が難しいという場合には、塾を変えるという選択肢もあります。 学び慣れた環境が変わるのはお子さまの負担にもなるほか、その原因がわからないと塾を変えても同じ失敗を繰り返す可能性もあります。

塾選びに失敗したと感じたときでも、すぐに環境を変えるのではなく、原因の検討と塾への相談をして落ち着いて判断することをおすすめします。