反抗期の子どもとの関係を悪化させる「親の思い込み」とは?
中学生の頃から反発することが増えるのはなぜでしょうか? そこには発達の段階における避けられない理由があり、親が過剰に反応しないほうがよいと言います。
教育評論家で『反抗期まるごと解決BOOK』の著者・親野智可等さんが詳細を解説します。
「親子だから大丈夫」という思い込みの危うさ
思春期反抗期の子どもとうまくコミュニケーションが取れなくて悩んでいる、という声をよく聞きます。読者の中にも、反抗期の子にうっかり話しかけて冷たい反応を返された経験がある人は多いはずです。
そもそもこの時期の子はブスッとしいることが多いので、よい反応が返ってくることは初めから期待しない方がいいと思います。
それに加えてもうひとつ気をつけてほしいことがあります。
それは話しかけるタイミングについてです。
大人でも人に話しかけられたくないタイミングというものがあります。急ぎの仕事に追われて焦っているときや集中して考えているときなどです。こういうときに話しかけられても気持ちよく反応するのは難しいです。
それがわかっているので、例えば職場の大人同士でしたら相手の状態を見て「今は話しかけない方がいい」と判断してやめておくことはよくあります。そして、相手が話を聞いてくれそうな状態になってから話しかけるようにしているはずです。こういう気配りが大人相手なら自然にできると思います。
ところが、わが子に話しかけるときはできないことが多いのです。なぜなら、親には「自分の子どもに何の遠慮が要るのか。親子だから大丈夫」という思い込みがあるからです。
でも、子どもにも当然話しかけられたくないタイミングというものがあります。例えば、スマホの動画やゲームに没頭しているときや友達のインスタ投稿に気の利いたコメントをしようと考えているときなどです。
こういう状態のときに話しかけられても、気持ちよく反応するのは難しいはずです。その結果、無視したり「別に」とか「うぜぇ」などの言葉で適当に済ませることになります。
そして、話しかけた親の方は無視されたとか態度が悪いなどと言って憤慨するわけです。このような些細なことが積もり積もって、親子の人間関係が悪化していきます。
こうならないためには、子どもの状態をよく観察して話しかけるタイミングを選ぶ気配りが大事です。
そして、そのためには、まず「親子だから大丈夫」と思い込むのをやめましょう。言い換えると、子どもを一人の人間として一定のリスペクトをもって接するということです。
実際、わが子といえども親とは全く別の人格を持った一人の人間なのですから。そういう意識でいれば、自然に相手の状態への気配りもできるようになります。
そして、親が子どもをリスペクトして接していると、親子関係がどんどんよくなりますし、子どもの方も親をリスペクトしてくれるようになります。
私は教師や教育評論家としていろいろな事例を見てきました。
そういう経験から声を大にして言いたいのは、「親子だから大丈夫」という思い込みこそが親子関係を悪化させる根本原因だということです。
非常に多くの親が、「親子だから大丈夫」という思い込みのせいで、子どもへの理不尽な言動を繰り返しています。その結果、子どもが親への不満と不信感を募らせ、親子関係が悪化してしまうのです。
親子だったら最高の人間関係になれたはずなのに、他人以上に冷え切った関係になってしまっている例がたくさんあります。
この思い込みをなくし、子どもを一人の人間としてリスペクトをもって接するようにしてください。
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本書では反抗期に生じる様々な悩みを具体的な事例を挙げて紹介。
snsでの言葉が子育て世代に刺さりまくっている親野智可等先生がベストアンサーを回答。ぴよととなつきさんのあるある四コマ漫画とイラストも必読! 子供も親も気持ちが楽になる、自然と話ができる親子関係の作り方をアドバイスします。