子どもをSNS詐欺や重課金から守るために…小学生に教えておくべき「お金の使い方」

八木陽子(監修)

子どもの金融教育に対する関心が高まるなか、無計画なゲーム課金や推し活消費など、金銭トラブルに子どもが直面するケースが増えています。お金自体にいいも悪いもありませんが、「いいお金」にできるかは、自分次第。小学生のうちに、家庭でできるお金の教育について考えてみましょう。

※本稿は、八木陽子監修『NOLTYキッズワークブック お金を大切にできる8つのミッション』(日本能率協会マネジメントセンター)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

実録:お金のトラブル こんなはずじゃなかった・・・

はじめに、私のところに実際に相談にきた金融トラブルの事例をご紹介しましょう。

【ケース1 夢のコンサートが一転!SNS詐欺の罠に】
大好きなグループのコンサート。チケットの抽選に外れるも、SNSで高額の譲渡オファーを見つけ親に内緒で即送金。しかし、そのアカウントはすぐさま削除され、結局チケットは手に入らず。

【ケース2、スマホ請求額に驚愕!気づけば10万円の投げ銭】
ライブ配信が当たり前の時代。ついつい夢中になってしまい、気づくと10万円近くの投げ銭が発生。

このようなトラブルはほんの一例。親としては『うちの子に限って』と思いたいものですが、実際に発生しています。子どもがお金を大切に扱えるようにするためにはいったいどうしたら良いのでしょうか?一緒に考えてみましょう。

お金の本質は「ありがとう」の気持ち

『NOLTYキッズワークブック お金を大切にできる8つのミッション』(八木陽子監修、日本能率協会マネジメントセンター刊)より一部改変して抜粋

この記事の画像(2枚)

お金の教育を行なううえで、最初に子どもに伝えたいのは「お金とは何か」という本質的な問い。さまざまな機能や役割があるけれど、誰かが誰かにお金を払うとき、そこには必ず感謝の気持ちがあります。

子どもと買い物に出かけて、「お金を使って、感謝する」経験をさせてみるのも良いでしょう。また、お金が手に入るのも、誰かの役に立っているからです。お金が動くときには、たくさんの「ありがとう」の連鎖があることを、こどもと一緒に探してみましょう。

お金を上手に使うにはどうすればいい?

キャッシュレス決済の普及が進む今、お金が増えたり減ったりする感覚を感じにくいのが現代のこどもたち。ネット通販の増加でモノの値段を覚える機会も少なくなっています。

お金を上手に使うためには、適正なものの値段を知り、衝動的な買い物をできるだけ減らすことが大切です。通信料や光熱費、家賃など、目には見えないものの費用も親子で確認してみましょう。

さまざまなところでお金はかかっていて、お金は無限に使えないことを実感できると思います。お金について自分で考える癖をつけるためにも、家庭の中でお金に関する話題を自然と増やしていけるといいですね。

おこづかいを使って、お金を使う練習を


『NOLTYキッズワークブック お金を大切にできる8つのミッション』(八木陽子監修、日本能率協会マネジメントセンター刊)より一部改変して抜粋
金銭感覚を養い、計画的にお金を使えるようになるために、何より効果的なのが「おこづかい」です。

ただし、ただ与えるだけではダメ。何に使いたいかを子ども自身が考え、1カ月にいくら必要かを自分で考えるところからスタートします。おこづかいの渡し方は、定額制、報酬制、ハイブリッド制の3種類。子どもとよく相談し「おこづかい」の渡し方やルールを決めてくださいね。

はじめのうちはおこづかいは現金で渡し、子ども自身が現金でお金を使う経験をさせましょう。実際にお金が減ったり、増えたりすることを目で見て体験することができます。

お金を使いすぎてしまったり、いらないものを買ってしまうなどの失敗もおこづかいの範囲でならOK。お金の大切さに気づく貴重な機会となるはずです。

大切なのはお金の価値を考えて行動できる大人になること

人生100年時代といわれる今、投資や資産形成など、これからの子どもたちは、より積極的にお金と付き合うことになるはずです。将来「豊かなお金の使い方」ができるようになるために、感謝の気持ちを忘れずにお金と関わる経験を増やしていきたいですね。

八木陽子監修『NOLTYキッズワークブック お金を大切にできる8つのミッション』(日本能率協会マネジメントセンター)
八木陽子監修『NOLTYキッズワークブック お金を大切にできる8つのミッション』(日本能率協会マネジメントセンター)

・小学生目線でのお金のなぜ?どうして?を厳選して解説。金融リテラシーに関わる知識を網羅的に扱うのではなく、小学生目線でのお金の疑問を取り上げてわかりやすく解説。
・親子で取り組むインタラクティブな演習が充実しており、実生活から「お金」が学べるワークブック形式です。

日常生活の中で取り組めるミッションを解きながら、お金に関する生きた知識が得られます。面倒な計算がほとんどいらない超簡単「おこづかい帳」付き。