内向的な子が「学校へ行きたくない」と訴えた時 親が聞いてあげるべきこと
元スクールカウンセラーで2000人以上の親子の悩みを解決してきた吉田美智子さんは、内向的な子には長所が多くあり、その力を伸ばす方法を伝えています。
本記事では吉田さんの著書『声かけで伸ばす内向的な子のすごい力』より、内向型の性格の子が抱えがちな問題について「芯が強く個性的な内向型」と「環境感受性が高いHSC型」のケース別に親の対応方法を解説した一節を紹介します。
※本記事は、吉田美智子著『声かけで伸ばす内向的な子のすごい力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋・編集したものです
学校は楽しいばかりの場所ではない
学校は誰もが行くところで、行って当たり前だと思いがちです。でも、いつもがんばることや成長を求められる学校は、楽しいばかりの場所ではありません。
子どもによっては、あまり好きじゃない、なじめないと感じることもあります。子どもが学校に行きしぶったとき、どのように対応するといいでしょうか。
内向型の場合・自分らしくいられる時間を増やす
自分らしくいられる時間を増やす自分のペースが大事な内向型の中には、集団で学習や生活を行う学校をあまり好まない子もいます。
「なぜみんな一緒でなくてはいけないんだろう?」とか「もっと自分のペースで自由に過ごせたらいいのに」と感じているのです。そう思いながらも、やはり「行かなくちゃ」とがんばっています。
このように、ふだんから無理をしていると、疲れが溜まったときや、友だちとうまくいかないときに「行きたくない」と訴えることがあります。行きしぶる気持ちが見られるときは、子どもの苦しい気持ちや不満をよく聞いてください。
子どもの不満が今の教育の問題点をついていることもあるので、それについても親子で話し合ってみましょう。子どものペースでの学びや生活を家庭で実現できないか話し合ってみるのもいいですね。
また、学童や習いごと、祖父母の家など、学校と家庭以外に自分らしくいられる場所を持つこともいい息抜きになるでしょう。内向型の子どもには、日頃から本人の自由とペースを尊重して、ゆとりのある生活を心がけてあげましょう。
すると、多少のストレスは日常生活の中で吸収・修正できて、前向きな気持ちを維持しやすくなります。
学校の先生と連携して、子どもの不安を減らすHSC型は本来学校生活を楽しみにする子どもですが、学校の雰囲気が悪いときは、その影響を受けて気持ちが落ち込んだり、行きしぶったりすることがあります。
学校に行こうとしているのに不安で身体が動かない、顔色が悪い、涙がでるなどの様子が見られるときは一度お休みしましょう。家でゆっくり過ごして気持ちが落ち着いたら、学校生活の様子を聞いてみてください。
なんの時間にどんなことがあって不安や悲しみを感じるのかを聞きながら、苦しい環境でがんばった子どもをいたわってあげます。そして、不安を与えてくる人の言動を子どもが客観的に理解できるように一緒に考えてあげましょう。
HSC型・学校の先生と連携して、子どもの不安を減らす
また、担任の先生に話して、学校の不安が軽減できないか相談してみてください。
たとえば先生と親と子どもの3人で、休み時間の過ごし方を検討してみたり、保健室、カウンセリングルーム、図書館など苦しいときに行ける場所はないか話し合ってみましょう。
親が学校との仲立ちを果たすことを通じて、困ったときにできることは何かを考えて調整する態度や、困ったときは必ず誰かが助けてくれるという信頼感が育ちます。周囲が温かくサポートすると、それを糧に自分の気持ちを立て直せるのがHSC型のいいところです。
ただ、このような対応をしても行きしぶりが改善しないときは、早退やお休みの日を持つことでペース配分をしてみましょう。
不安でつらいままがんばり続けてしまうと、子どもの元気が失われてしまい、後々まで影響することがあります。子どもの様子を見ながら、どこまでがんばるかを調整してください。
『声かけで伸ばす 内向的な子のすごい力』(吉田美智子 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)
初対面の人にあいさつできない。友達と遊びに行かない。チャレンジできない。学校の面談で毎回おとなしい子だと言われる。でも心配はいりません。引っ込み思案だからこそ、いいところがたくさん!
元スクールカウンセラーで2000人以上の親子の悩みを解決してきた吉田美智子氏が、内向的な子の長所をさらに伸ばすための親の接し方をお教えします。