算数が苦手、問題が理解できない…発達が気になる子に必要なサポートは?
発達が気になる子は、多数派の子どもたちに合わせたカリキュラムに学びにくさを感じることも。今、算数が苦手な子は、もしかしたら今の学習が合っていないだけかもしれません。
さまざまな個性の子が集まる学習塾「さくらんぼ教室」の伊庭葉子先生、赤塚智美先生が、親御さんに伝えたい、算数が苦手だと感じる子への親の向き合い方とは? 著書より抜粋してご紹介します。
※本稿は、伊庭葉子著, 赤塚智美著『さくらんぼ教室メソッド 発達が気になる子の「できる」をふやす 算数』(Gakken)から一部抜粋・編集したものです。
「できない」「わからない」は、子どものSOS
宿題をしている子どもが、「できない」「わからない」となかなか進められないのは、「やりたくないから」ではなく、その宿題の課題が「合っていないから」だと考えてみませんか。
「ちゃんとやりなさい」と無理にやらせることは、子どもにとってはサイズの合わない洋服を着せられるようなもの。「できない!」「わからない!」は、子どもからのSOSです。迷わずすぐに手助けをしてあげましょう。
子どもには子どもの理由がある
「500 円を二人で分けると……」という文章題で「分けられるわけがないよ。500円玉はかたくて割れないから!」と言う子がいます。なぜそう考えるのか、子どもには子どもの理由があるのです。「そんなわけないでしょ」ではなく、「なるほど、そう思ったんだね!」と理解することから始めましょう。ユニークな視点も、その子の大切な持ち味です。
「発達が気になる」ということ
「多様性」という言葉とともに、いろいろな個性をもつ子どもたちへの理解が広がっています。私たちの教室には、発達障がい(神経発達症)の診断をもつ子もいれば、「自分のペースで勉強したいから」という理由で通う子どもたちもたくさんいます。「ゆっくり発達する子」もいれば、「得意なことと苦手なことの差が大きい子」もいて、いずれも多数派の子どもたちに比べると、「学びや発達の道筋のちがい」があるのです。「ちがい」があることは、決してはずかしいことではなく、すてきなことです。今は脳の多様性(ニューロダイバーシティー)が尊重される時代。その子らしさを大切に、その子に合う方法で学ぶことによって、必ず成長します。
「発達が気になる」子どもたちの状況はさまざまですが、学習の場面で「多数派の子どもたちのカリキュラムでは学びにくい子」と広くとらえます。学校の「多数派の子どもたちに合わせたカリキュラム」に合わない子は、たくさんいます。「できない」のではなく、「合わない」のです。合わない学習を無理に続けて、子どもたちが「自分は勉強ができないダメな子だ」と思ってしまうほど、もったいないことはありません。「この子には、この子の学び方がある」ことに早く気づいて、早期にサポートしてあげましょう。
学習の土台をつくる
勉強をする目的は、何でしょうか。私たちは「その子らしく幸せに生きるため」だと考えます。まず大事なのは、子どもの心の健康と安定です。さらに、学齢期に身につけた基礎学力が土台となり、その先の「自分で考える力」「問題解決する力」につながっていきます。国語も算数も、小学校3・4年生くらいまでの内容は、その先の学びにつながる土台といえます。学校の勉強を追いかけるだけでは、力はつきません。日々の心の安定をはかったうえで、ゆっくりでいいので子どものペースで楽しく学び、しっかりとした「土台」をつくってあげましょう。
『さくらんぼ教室メソッド 発達が気になる子の「できる」をふやす 算数』(伊庭葉子著, 赤塚智美著/Gakken)
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