「園で何した?」の質問に答えない…返事を引き出す声かけのコツ

今川ホルン
2024.11.11 15:05 2024.11.27 11:50

ソファーに突っ伏すイヤイヤ期の女の子

つい子どもに聞いてしまう、「今日は何したの?」の質問。なかなか答えてくれないと、思わず質問攻めにしたくなってしまいますよね。
しかしこの質問、発達段階によっては、実はハードルの高い質問なのだそうです。

子どもの答えを引きだす「スモールステップ」の声かけのコツを、発達科学コミュニケーションマスタートレーナー・今川ホルンさんの著書より抜粋してご紹介します。


※本記事は、今川ホルン著『脳を育てれば会話力がみるみる伸びる! ことばが遅い自閉症児のおうち療育』(パステル出版)より、一部を抜粋編集したものです

園であったことを聞いても答えられません

ごはんを食べる男の子

NG対応…質問攻めにする

聞いても答えられないということは、まだ質問に答えるという発達段階に到達していないのです。質問攻めにしても意味がありません。

答えられない理由は、質問自体が理解できないケースと、質問は理解できてもどう答えていいかわからないケースがあります。「園で何した?」と聞かれても、歌も歌ったし、すべり台もしたし、お弁当も食べたので、子どもにとっては答えづらい質問です。

以前、「給食、何食べた?」とお子さんにいくら聞いても答えない、と悩むママがいらっしゃいました。後になって、幼稚園では先生が「お弁当」と呼んでいたので、ママの言う「給食」が理解できなかったのだとわかりました。その園の給食はお弁当として配膳されていたんですね。次から「お弁当、何食べた?」に変えると、きちんと答えられたそうです。

この場合、ママの質問に答えるためには「お弁当」という名詞、「食べる」という動詞、「何を」という疑問詞の3つを理解していることが前提条件です。質問の答えが返ってこないときは、子どもにわからないことばを使っていないか、見直してみてくださいね。

OK対応…絶対に答えられそうな質問からスモールステップを踏む

質問の声かけには、ことばの発達段階によって、次のようなステップがあります。いきなりハードルの高い質問をしても、子どもはうまく答えられません。いまの発達段階なら絶対に答えられるであろう質問を用意して、スモールステップを踏みながら子どもの答えを引き出してあげるようにしましょう。

1.目に見えているものを2択から答えることができる
【例】親「これはりんご? バナナ?」 子「りんご」

2.疑問詞を理解し、目に見えているものを答えることができる
【例】親「これはなんでしょう?」 子「りんご」

3.今日の出来事を2択から答えることができる
【例】親「今日は幼稚園? 療育センター? どっちに行った?」 子「幼稚園」
※事業所名などいつも呼んでいる名称で聞きましょう
※今日・明日・昨日などの抽象名詞を理解しているかチェックしましょう

4.クローズドクエスチョンで、今日の出来事をYESまたはNOで答えることができる
【例】親「今日はプールに入ったの?」 子「うん。プールに入った」

5.疑問詞を理解し、今日の出来事を答えることができる
【例】親「今日は何をして遊んだの?」 子「ブランコで遊んだ」

このように、目の前にいるわが子の様子をよく観察しながら、発達段階に応じて少しずつステップアップしていきましょう。

今川ホルン

発達科学コミュニケーションマスタートレーナー。
帝京大学大学院修了。臨床心理学修士。公認心理師。株式会社ここから発達らぼ代表。
自閉症の長女を含む3児の母。埼玉県の病院で臨床心理士として働く中で長女を出産し、長女の自閉症の診断をきっかけに児童発達支援事業所に勤務する。その後、発達科学コミュニケーションに出会い「家での親の声かけ」が自閉症の子を伸ばしていくと確信。発達科学コミュニケーションのマスタートレーナーとして活動する。
わが子のことばの遅れに悩むママやパパに対し、子どものことばを伸ばすおうち療育『自閉症専用3カ月おしゃべり上達メソッド』を教えるとともに、トレーナーを育成している。

Instagram:@horn.imakawa

脳を育てれば会話力がみるみる伸びる! ことばが遅い自閉症児のおうち療育

脳を育てれば会話力がみるみる伸びる! ことばが遅い自閉症児のおうち療育』(今川ホルン著,パステル出版)

「うちの子もうしゃべれないのかな…」と諦めているママやパパへ
7組の親子のお悩み解決ストーリーと本当に効果のあった声かけを紹介!