AIがあれば「国語力」は要らない? テクノロジーの時代こそ「国語力」が必要な理由

中本順也

「国語力は大事」という声はよく耳にしますね。重要に思える「国語力」ですが、そもそも「国語力」とはどういうものなのでしょうか。
生成AIを活用してコンテンツの生成を自動化できたら、「国語力」は必要でなくなるのでしょうか?

すばる進学セミナー代表/かまくら国語塾主宰の中本順也著『おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方』から紹介します。

※本稿は、中本順也著『おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。

国語力はテストの点数で図れる?

「国語力は大事」
「国語力がないから、算数や理科の文章題も解けない」

といった声は、塾の現場でもよく耳にします。

「国語力はすべての学習の土台」という話も、よく語られることです。

聞けば聞くほど、言われれば言われるほど重要に思えてくる「国語力」ですが、私たちが当たり前のように使っている「国語力」とは一体どういうものなのでしょうか。

最もわかりやすいのは、学校や塾のテストにおける国語の得点です。

「算数は90点以上取れるけど、国語はいつも50点くらい」となると、国語力が足りないのでは? と思ってしまいますよね。

テストや入試問題における点数は「評価」であり、ひとつの「基準」です。わかりやすく示された目の前の点数は、どうしても気になってしまうものです。

でも、ご安心ください。

学校のテストや入試問題の得点だけで、国語力は決まりません。

テストで測れるのは、国語力のほんの一部です。簡単には身につかないだけに、簡単に測れるものでもありません。

文部科学省は、これからの時代に求められる国語力を《二つの領域》で説明しています。

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①「国語の知識」や「教養・価値観・感性」等の基盤となる領域

②考える力、感じる力、想像する力、表す力から成る、言語を中心とした情報を処理・操作する領域

国語の知識(語彙や文法、ことわざや慣用句など)や、さまざまな教養などをベースにして考えること、そして感じたり、想像したりしたことをアウトプットしていける総合的な力が、国語力であると読みとれます。

長らく「国語」という教科に接してきていますが、文部科学省が示しているこの考え方には、おおむね同意します。

国語力で「自分」をアップデートできる

国語力が上がると、考え方も感じ方も想像力も、すべてがベースアップします。

自分というOSをアップデートする、もしくはスマホを最新機種に変更するイメージでしょうか。使えるアプリの数も、ディスプレイの美しさも変わりますよね。

毎日のすべての行動が、よりスムーズに、よりクリアになっていきます。

「自分」という存在の持つ可能性を最大限に発揮するための心臓部分が、国語力です。

国語力は、国語という教科を超えて、私たちの日常のあちこちに存在しています。

例えば、周りに「この人の話は面白いし聞きやすいな」「伝わりやすい文章だな」「この人は自分のことをよくわかってくれているな」と感じる人がいたら、その人は十分に高い国語力を持っていると言えます。

また、昨今はAIの進化も著しく、今後は子どもたちもChatGPTやGoogleなどの生成AIを活用していく機会が増えていくと思われます。

AIを有効に使うにも、国語力をベースとした言葉を駆使する力が必要です。

おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方

おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方』(中本順也著/かんき出版)

「うちの子は国語力がない……」
そんなふうにお悩みの保護者の方へ。
本書は、未就学~小学生を対象とした、おうちで国語力を伸ばすための本です。