欲しければ親を納得させよ! 子どもの「家庭内プレゼン」をYouTuberが勧める深い理由

おうちごっこ ヒロアキ

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子育ての中でたびたび起こるのが、子どもからの「これ欲しい!」のリクエスト。言われるがままに買い与えるのも、頭ごなしに否定するのも違和感がある…。

そんな親御さんにおすすめしたいのが、子から親への「家庭内プレゼン」です。
実際に「家庭内プレゼン」をたびたび実施しているという、YouTuber「おうちごっこ」の父・ヒロアキさん。プレゼンが育む子どもの力について、著書よりご紹介します。

※本稿は、おうちごっこ ヒロアキ著『家族を笑顔にする32チャレンジ おうちごっこの子育て1年生』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集したものです。

おうちごっこ まーちゃん家の人物

家庭内プレゼン
~欲求に応える前に魅力をPRさせる ! ~

家族でプレゼンしよう by ヒロアキ
人生、思い通りにいかないことのほうが多い。その場面場面で必要になるのが、自己制御力です。本質を正しく理解するために、プレゼン制度が役立ちます。

物事の本質を知るには、考える機会が必要
欲求を満たしたときの状況を想像する

後悔することを恐れていては、窮屈な人生になってしまいますよね。そのときにほしいと思って買ったものが、少し時間が経っただけで不要になるというのも、後悔の経験です。ただし、その経験をくり返すのは、なんの進展もありません。子どもは好奇心旺盛です。目の前にあるものに魅力を感じ、衝動的にほしいと思うことも必然です。その好奇心を遮る必要はありません。一緒にそのものの魅力を共有しましょう。子どもは気持ちを共有できることで、ひとつの欲求を満たします。

この過程を踏んだうえで、そのものが本当に必要かどうかを考えさせてください。買ったあとにどのようにして楽しめるか、どのように管理するか、ほかのものよりもすぐれているか、など。所有する物量には限界があります。おもちゃなら、置き場所がなければ、なにかを手放さなければなりません。今、自分の手元に置いておくべきものかどうかを考えて、「ほしい」となればお買い上げとなるでしょう。まーちゃんの場合、考えている途中で「やっぱりいいや」となることが多々あります。

物事とお金の価値を結びつけることで、判断する力と責任力を養える

高いから買わない、安いからいいよ、という考えはありません。もちろんお金との兼ね合いは大切ですが、「安物買いの銭失い」(安いものは品質が悪くてすぐに使えなくなり、結局お金が無駄になる)ということわざがあるように、一概に金銭的価値だけでは判断できません。安くても価値を感じれば問題ないですよね。要は判断して買ったものには、それを大切にする責任がともなうことを子どもに伝えたいのです。その判断において、所持金から高い、安いの感覚を持つことはあって当然です。子どもがお店で的確な判断をするのは難しいですね。そこで、プレゼンのごっこ遊びをおすすめします。私がみきちゃんとまーちゃんにプレゼンして、結果、買うのをやめようと判断することもありますよ。

また、これは食べ物や外食でのお店選びでも同様です。例えば、まーちゃんは回転寿司が大好きで、そのお店の魅力を家族も共有していますが、意見が分かれたときはプレゼン力で行き先が決まります。お店のイベント企画などを調べて「今、行くべきでしょ」という流れもありますね。

ものには心があることを知れば、プレゼン以上の魅力が続く

お金を払って買ったもの以外でも、ものを大切にしてほしいですね。まーちゃんは、「ものにはすべて心がある」といいます。おもちゃやぬいぐるみ、フィギュアなどを整理して保管しているのも、まーちゃんのものに対する愛情の表れだと思います。

例えば、豚のぬいぐるみは、まーちゃんがはじめてサンタさんからもらったもので、いつもまーちゃんのそばにいて、家族の一員のよう。赤ちゃんのころから使っていた乗り物のおもちゃは、部屋のオブジェとして、また物入れ(座席の下が収納場所になっている)として使っています。お酒の瓶をモチーフにした抱き枕は、ビーズクッションがくずれても抱き続けています。中にはお別れをするものもあります。その場合もリサイクルショップに持っていったり、ネットオークションに出したりし、そのものがほかの誰かに愛されることを第一にしています。また、売ってお金を得るという感覚も身につきます。

まーちゃんから学んだこと

・目的意識を明確にできる

ものやお金の価値を知るのは、自分の考えを大切にすることにつながると思います。これは時間や行動に対しても同じ。例えば、「なぜ、朝5時半に起きなければならないのか?」。学校に行く目的を果たすため、自分の朝の過ごし方を実行するため、ということをまーちゃんは理解しています。

後悔することもひとつの経験とお話ししましたが、目的意識がなければ後悔すらできないでしょう。目的意識を持つことは、将来なりたい職業、したいことといった、人生の岐路での決断に役立つと思います。どの道を選んでも、そのときどきの自分を受け入れられるでしょう。

・交渉力は生きぬく力になる

学校教育でも論理的思考が重んじられているようです。プログラミングの授業では、目的を明確にして企画を考え、制作したものを誰かにプレゼンするというカリキュラムがあると聞きます。日常生活には、常に交渉がともないます。価値観を持って、自分の意見を相手に伝え、相手の反応に対処する、というやりとりを自然に行っています。

人生において交渉がうまくいかないことのほうが多いかもしれません。その擬似体験も家でのごっこ遊びでできます。子どもの「あのおもちゃがほしい」という主張は、社会を生きぬくための、きっかけなのかもしれません。

・責任を感じることが、自立になる

いつか、子どもは親のもとを離れていきます。みなさん、期待しつつ、心配ですよね。自分の意思を大切にしながらも、誰かに頼られる存在になってほしい、私はそう思っています。それに必要なのが、責任力ではないでしょうか。子どもとはいえ、さまざまな言動には責任がともないます。それを自覚し、果たすことで成長していく、それが自立なのではないでしょうか。

この親の思いを子どもにダイレクトに伝えると、ちょっと重いですよね。そういった意味で、ごっこ遊びがちょうどいいんです。楽しみの中には、必ず学びがありますよ。

まーちゃんのウォッチワード

「『イヤなことは笑いに変える』 これが我が家の合言葉」

「失敗したな」って思うこと、誰にでもあるよね。でも私は、後悔しないよ。だってそれを笑いにしてしまえば、新たな価値が生まれるから。家族で旅行したある日のこと。楽しみにしていた牡蠣料理のお店が満席で入れず、遊覧船に乗ろうとしたら運休。完全なる確認不足なんだけど、今となってはあのときのパパの落ちこんだ表情が、最高におもしろかった。その後、偶然に牡蠣のお店を見つけるというラッキーもあったしね!