「要領のいい友だちがずるい」と怒る子に教えたい、人を嫌う前に目を向けるべきこと
要領のいい人が、ずるく感じてしまう事ってありますよね。しかしそんな時こそ、「独りよがりな見かたをしていないか」と、自分を疑う必要があるかもしれません。
子どもに伝えたい「怒りをためない考え方」を、アンガーマネジメントの専門家・安藤俊介先生の著書よりご紹介します。
※本稿は、安藤俊介著『12歳から始めるイライラしない技術 』(秀和システム)から一部抜粋・編集したものです。
要領がよくて、ずるい友だちにイライラする
要領がよいと思っているということは、必要な努力もせず、もしくは自分よりも努力していないのに、自分よりもよい結果をえていると思っているのでしょう。
そして、努力している自分よりも、よい結果をえられていることが「ずるい」と不満を感じています。
要領のよさは「タイパ」のよさとも言えそうです。
タイパとは「タイムパフォーマンス」の略で、一定の時間内でどれだけ効果をあげられたかを指す言葉です。
最近では、このタイパがよいことがのぞましいことと考える風潮もありますので、要領のよさに目が行きやすいのでしょう。
もし、あなたがそう感じたことがあるとしたら、自分のことを疑ってほしいのです。何を疑うのかと言えば、それは自分が独りよがりに考えていないかです。
自分を疑い、自分をふり返ることは「内省」や「リフレクション」とも言い、自分を理解する上でとても大切なことです。
自分を理解することができれば、自分が本当のところ何をのぞんでいるのかがわかりますし、逆にしたくないこと、やらないほうがいいことを理解して、それをさけることができるようにもなります。
あなたは、友だちのことを要領がよいと感じていますが、本当に相手は要領がよいのでしょうか。
あなたの目には、友だちは必要な努力をしていないように見えているかもしれませんが、友だちはあなたの見えないところで、あなた以上の努力をしているかもしれないのです。
これは、あなたはそう思っているが、事実は違うかもしれないことに気づくチャンスです。
あなたが思っていることと事実が違うことはよくあることです。なぜそのようなことが起きるかと言えば、それは人には思いこみがあるからです。
思いこみはだれにでもあります。思いこみには結果的によいものもあれば悪いものもあります。
たとえば、あなたが相手のことを友だちだと思いこんでいた場合、あなたは相手と気持ちよくつき合うことができます。仮に、相手はあなたのことを友だちとは思っていなかったとしてもです。
この場合、あなたの思いこみは人間関係にとって、結果的によい方向にはたらいていると言えます。
逆に、あなたが「相手から敵意を向けられている」と思いこんでいた場合、あなたは相手に対してよい感情を持たないので、あなたも相手に敵意を向けてしまうでしょう。
すると、相手との関係はぎくしゃくしたものになります。
相手があなたのことを、嫌いでも何でもなかったとしてもです。
これは、あなたの思いこみが、人間関係にマイナスに影響をあたえていると言えます。
思いこみはだれにでもあるものなので、そのこと自体は問題ではありません。ただし、その思いこみはプラスなものにもマイナスなものにもなります。
自分にはどのような思いこみがあるのか、その思いこみによってどのような影響があるのかを考えてみましょう。
『12歳から始めるイライラしない技術 』(安藤俊介著/秀和システム)
「ムダに怒らない」「6秒で落ち着ける」「ストレスに強くなる」
ありそうでなかった、小学生が活字で読むアンガーマネジメント入門
本書は難しい漢字や専門用語を極力使わず、ルビを振って小学5年生以上の子どもが1人で読めるようになっています。自分で本を読んで、怒りの感情について解決できる1冊です。