3人のハーバード生を育てた親の”特別ではない”子育て 才能と個性を引き出す6つのポイント【後編】

シム・ファルギョン

韓国からアメリカに一家で渡った後、一般の公立学校から3人の娘全員をハーバード大学に進学させたシム・ファルギョンさん。特別な英才教育を受けさせたわけではなかったものの、家庭で子どもたちの才能と個性を引き出すためにいつも6つの確認作業を実践していたといいます。

本記事では、前編で紹介した3つのポイントに続いて、3つのポイントを解説します。(本記事は後編です)


※本稿は、シム・ファルギョン著『3人の娘をハーバードに合格させた 子どもが自ら学びだす育て方』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。

まず確認すべき6つのこと(後編)

4.子どもの成功体験

子どもに達成感を味わわせるのは、親が必ずやるべきことだ。達成感がないと、子どもたちは新しいチャレンジをせずに現状に甘んじるようになり、元々あった創造性やチャレンジ精神を失ってしまう。そうしないためには、幼いうちから、何かを始めたら最後までやり遂げる習慣を身につけさせることが必要だ。

何かをやれば途中で疲れることもあるし、難しくてあきらめたくなるかもしれない。しかし、途中でやめてしまうと、失敗は一度きりでは終わらず、他のこともあきらめやすくなってしまう。

アメリカでは各自治体で子どもたちにさまざまな経験や機会を与えるため、バレエ、陶芸、美術、音楽など各種プログラムを運営している。公的機関が運営しているため、留学生だと費用がほとんどかからない場合も多かった。私はいつも車で子どもたちを送り、終わるまで待っていた。

子どもたちは最初は喜んで始めるが、やっているなかで行きたくないという日もあった。しかし、自分でやりたいと言って始めたからには、必ず最後までやらせるようにした。そうやって各課程を終えるたびにもらえる修了証を集めると、子どもは大きな達成感を味わうことができるのだ。

幼いうちからこのような姿勢が身につくと、自ら始めた活動はよほどの理由がない限り、最後までやり遂げるようになる。中学生になってから始めた活動は、平均4年から最長7年ほども続けて、成功体験を積み重ねていった。子どもがフィニッシュするまで、親はしっかり確認する必要がある。

先に書いたように、次女のヘウンはジャーナリズムを専攻すると決めて以降、すべての活動は執筆に関わるものとなった。学校では学校新聞の編集長となり、学外でも地方紙のインターン記者、『米州中央日報』の学生記者、さらに青少年リーダーシップ・プログラムでは地域のニュースを伝える新聞の編集委員として活動するなど、文章を書く活動には積極的に参加した。

なかにはヘウン自身のアイデアで始まったものもある。ある日、わが家が活動に関わっているYMCA 支部で開かれている各種行事を紹介する新聞を作ったらどうかと、ヘウンが提案した。それを担当者に伝えると、即座に採用されたのだ。

実際、新聞を作る作業は、強い意欲に加えて忍耐力と実行力が必要だ。定期的に大量の文章を書かねばならず、しかもヘウンは、暇さえあれば各種の作文コンテスト等にも参加した。それと同時に勉強も頑張り、トップの成績を取り続けた。毎日3〜4時間は執筆し新聞を編集する生活を続けていたら、お尻に痛みが生じ、病院で診てもらったら尾てい骨が少し曲がっていると言われた。医師には「いったいどれだけ勉強したらここまでになるのか」と言われ、たまにはストレッチでもしなさいと助言された。

家族新聞を楽しんで作っていた幼いヘウンが、根気と忍耐力のおかげで才能を実らせたのだ。何をするにしても最後までやり遂げて達成の喜びを味わえるよう、子どもを励ましてあげよう。