算数は何歳から始めるべき? 人気算数塾の塾長が説く「子どもの個性」の見つけ方
算数の勉強は、小学校入学前から始めたほうが良いのでしょうか?
また、その子の「得意」を見極め、才能を伸ばすために、親にできることは何でしょうか。
パズルや迷路で遊びながら学べる『天才!!ヒマつぶしドリル』シリーズ(Gakken)の著者で、算数教室「りんご塾」塾長の田邉亨先生に聞きました。
算数の勉強はひらがなができてから?
──算数などの勉強は、小学校入学前から始めた方がいいのでしょうか?
それはその子によります。未就学児であっても、字も読めるし思考力もある、という子であれば、小学校に入る前でも力を伸ばせると思います。
未就学児でまだそういう能力が育ってなくても、それはそれでいいんです。いつどんな能力が伸びるかは、個人差がありますので。
──算数を始めるのは、ひらがなの読み書きができるようになってからの方が良いでしょうか。
そうとも限りません。
男の子は文字を書けるようになるのが比較的遅いですが、その一方で、女の子は年中さんでお手紙交換をしたりする。けど算数が好きなのは、どちらかと言えば男の子が多いですよね。
親に教わる前から、何となく頭に数式があるような子は、算数の勉強に向いてますよ。
それに、ひらがなって実は難しいんです。
画数が少ないせいで、海外の方は「うさぎとあそぼう」と「らさぎとあそぼら」の違いが分かりにくい。画数が多いほうが絵のように認識できるので、漢字の方が読みやすいんです。
もし、数字は好きだけどひらがなが苦手、という子であれば、数字をつなぎ合わせると最終的にひらがなが完成するような、「点つなぎ」の問題がおすすめです。こういう面白い入口を用意してあげるといいと思いますよ。
子どもの才能は「ヒマ」の中から見つかる
──子どもの個性や才能を伸ばすために、親にできることはありますか?
「あれをやりなさい」「今日のスケジュールはこれ」と親がマネージャーの役割をするのではなく、子どもが主体的に動ける場を提供してあげるのが理想です。
子どもは親が用意した「家庭」という場のお客さんでも、家庭の最下層で親の命令を受けるだけの存在でもないのですが、親はなぜか子どもをそう扱ってしまいがちなんですよね。
放課後や休日に習い事をつめこむようなご家庭もあるんですが、子どもが主役のようでいて、全く主役ではないんです。
子どもには、何もない時間を与えて、ヒマにさせる。自分で色々やった上で、「これがやりたい」と見つけたものを習い事につなげていくのが、本来の順番だと思います。
(取材・文:nobico編集部 中野セコリ)
『5教科の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル ちょっとやさしめ』(田邉亨著,伊豆見香苗イラスト/Gakken)
『5教科の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル ふつう』(田邉亨著,伊豆見香苗イラスト/Gakken)
楽しく遊んでいたら、いつの間にか算・国・理・社・英の力がついてしまうドリル。その確かな指導力で、公立の小学生に算数オリンピックの金メダルを受賞させるりんご塾。そこで子どもたちが学んでいるプリントを市販化。楽しくヒマつぶしして頭良くなろう!