「所用」と「所要」のちがいは何? 子どもの国語力UPする漢字熟語の使い分け【中級編】

大島中正(監修), 北澤篤史(著)

「所用」と「所要」のちがいは何? 「定跡」と「定石」、囲碁で使うのはどっち? 紛らわしい漢字熟語のわかりやすい解説を、『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』よりご紹介します。

※本稿は、大島中正(監修), 北澤篤史(著)『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社)から一部抜粋・編集したものです。

しょよう 【所用・所要】 使い方のコツ

【所用】用事や用向き。しなければならないこと。

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【所要】あることをするために必要なこと。

「所用」は「用事」、「所要」は「必要なこと」という違い。

「用」は「しなければならない仕事」の意味で、「所用」は「所用で外出する」「所用のため欠席する」など、用事や用件に使います。

「所要」は「所要の日数」「所要の条件」など、あることをするために必要なことを指します。「必要」の「要」と同じです。

じょうせき 【定石・定跡】 使い方のコツ

【定石】①囲碁のある局面で、最善とされる打ち方。②ものごとを処理する時に、最善とされる方法、手順。

【定跡】将棋のある局面で最善とされる駒の指し方。

「定石」は「囲碁」、「定跡」は「将棋」に用います。

また、「ものごとを行う時の最善のやり方」という意味で使う時は「定石」と書くのが普通で、「商売の定石」 「定石どおりの方法」などと使います。

しんちょう 【伸長・伸張】 使い方のコツ

【伸長】長さや能力、勢力などが伸びること。また、伸ばすこと。

【伸張】勢力などが伸び広がること。伸ばして広げること。

「伸長」は「長さなどが伸びる」、「伸張」は「勢力などが伸び広がる」という違い。

「伸長」は「背丈の伸長」「学力が伸長」など、長さや能力に使用します。

「伸張」は「勢力の伸張を図る」など、組織など勢力によく使用します。

両者は使い分けが難しく、基本的に「伸長」を使えば問題ありません。

監修者:大島中正
同志社女子大学特別任用教授/1958(昭和33 年)、大阪府生まれ。専門は日本語学。個人(新島襄など)の言語生活を語彙・表現に着目して、明らかにすることを目標の1つとしている。ことわざ学会理事。サイト「ことわざ・慣用句の百科事典」にコラム「ことわざで日本語再発見」を連載中。

著者:北澤篤史
「二字熟語の百科事典」制作者/1984(昭和59)年、大阪府生まれ。言葉好きが高じて、「二字熟語の百科事典」や「ことわざ・慣用句の百科事典」、「語彙力を鍛えるサイト」など、複数のサイトを立ち上げ、運営。月間300 万PV 以上に育てる。同サイトは小中学校の教材や単語カードになっている。
X:@kuizu_kotowaza

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