親が見せる背中が、子どもの未来をつくる?東大卒100人のアンケートから見えた家庭環境のヒント

米田まりな
2025.02.19 12:05 2025.02.20 11:50

小学生の女の子

「子どもは親の姿を見て育つ」とよく言われますが、それは親が勉強を教えたり、学歴が高かったりすることを意味するわけではありません。
実際、東大卒100人に行ったアンケート調査からは、親の日常の行動や家庭環境が子どもの学習意欲に大きく影響していることがわかりました。

親自身が勉強に打ち込むだけでなく、子どもが勉強しやすい環境を整えることも重要なサポートの一つ。
この記事では、親の行動や家庭環境が子どもに与える影響について、調査結果や具体的なエピソードをもとに深掘りします。


※本稿は米田まりな著『東大卒収納コンサルタントが教える 子どもが自然と集中する学習空間のつくり方』(‎日本能率協会マネジメントセンター)から一部抜粋・編集したものです。

子どもは親の姿を映し出す鏡

会話する父と子

「子どもは親の姿を見て育つ」と言いますが、それは親自身が子どもの勉強を完璧に見られる能力があることや、学歴自体が高いことが必要、という意味とは全く異なると思っています。

大切なのは「親自身も本を読む・勉強する姿を子どもに見せること」と、「子どもが気持ちよく勉強できるような環境整備に心を尽くすこと」の2点です。

今回、東京大学の卒業生100人に対し、小学校高学年時代の過ごし方を思い出して回答する形式で、アンケート調査を行ないました(2024年4月、筆者独自で実施)。

アンケートの結果によると、小学校時代、親が自宅で机に向かっている姿を日常的に目にしていた人は全体の約4割。

「親が経理部の所属で、自宅で資格の勉強をしていたことで、自分も経済学部に進みたいと考えた」
「親が研究職で、自宅でよく論文を読んでおり、自分も同じ分野に進みたいと考えた」
など、直接的に親の仕事内容から影響を受けた方もいれば、
「親が読書好きだったので、自分も読書の習慣が身についた」
など、趣味の部分でよい影響を受けた方もいました。

親が自宅でテレビ・スマホを見てばかりだったり、会社の悪口ばかり言っているようであれば、子どもも真似してダラダラするのは想像に難くないでしょう。
すきま時間を見つけて勉強している親の言葉のほうが説得力は当然増すものです。

しかし、親自身が勉強熱心でなくとも、環境整備のほうに心を尽くすことで、親の思いが伝わり、子どもの勉強に対するやる気がアップするパターンもあります。

先ほどの東大卒100人アンケートでは、「小学校高学年時代、自宅のリビング・ダイニングはどのような状態だったか?」という質問も行なっています。
この質問に対し、約7割の方が「リビング・ダイニングは整理整頓されていた」と回答しています。

一般の方を対象に行なう片付け状況調査では、リビングが整理整頓されている状態だと回答する方の割合は概ね3~4割であることが多い中で、7割という割合は高く、「東大生を育てた家庭は、リビングがきれいな状態だった」と言えるでしょう。

自分自身が勉強に打ち込んだり、勉強を教えることはせずとも、「勉強しやすい環境を常に整える」という行動と思いが、子どもにはしっかり伝わっているのだと考えられます。

余談ですが、私の母は幼少期、弟と私に、
「家族の仕事として、家事か勉強か、どちらかを選んで貢献をしていこう」
と言っていました。

父は家族のために勉強、母は家族のために家事に打ち込んでいる。子どもたちもどちらか選んで協力しよう、というものです。
家事の苦手な弟と私は、迷いなく勉強のほうを選びました(笑)。

その言葉を聞いてから、親に家事をやってもらえることが当たり前と捉えることがなくなり、家族というチームに貢献するためにも、勉強に打ち込もうと考えるようになりました。

親は子を庇護するもの、子どもは子どもらしく過ごす、という形で親子を分断せず、ワンチームで平等に向き合うことが大切なのではないかと、私自身が感じたエピソードでした。

米田まりな

米田まりな

2014年に東京大学経済学部卒業後、住友商事に入社し、Eコマース領域の事業投資を担当。18年より株式会社サマリーに出向、収納サービス「サマリーポケット」の運営に従事する。現在は大手不動産デベロッパーで働く傍ら、 プライベートで整理収納アドバイザー(1級)の資格を活かし、副業としてイベントや雑誌監修、記事執筆など多方面で活躍中。作家・デザイナー・起業家から一般の家庭まで幅広い層に向けて片づけのコンサルティングも行なっている。

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東大卒収納コンサルタントが教える 子どもが自然と集中する学習空間のつくり方

東大卒収納コンサルタントが教える 子どもが自然と集中する学習空間のつくり方』(米田まりな著/日本能率協会マネジメントセンター)

子ども部屋の整理整頓は、多くのお母さんの悩みの一つである。散らかった部屋で過ごすのは、単に不衛生・健康に悪いというだけでなく、「テストの前日に限って掃除をし始める」「机の上にいろんなものがおいてあって勉強に集中できない」という問題もあり、特に中学受験・高校受験を控えた子どもを持つお母さんたちの悩みの種にもなっている。

本書の著者は、『集中できないのは、部屋のせい』を出版し、忙しいビジネスマンでも実践できる、在宅ワークでも集中できる環境の作り方を紹介したが、受験生にとっても「集中できる部屋づくり」は重要なキーワードと言えるだろう。
しかし、中学受験を考えている親向けの書籍は「声かけ」や「接し方」について説明したものが多く、環境の整え方について言及した書籍はほとんどないうえに、子ども部屋の整理整頓についての書籍にも「集中できる」「勉強ができる」という切り口のものは見当たらない。

本書では、「小学校に入学したら学習机」「東大生はリビング学習」など、従来言われているメソッドについてロジカルに切り込むとともに、東大卒100人に対するアンケートからわかった集中できる・主体的に勉強するようになる環境の整え方を10のポイントにわけて解説。さらに、子どもの持ち物をどのように整理するかも含め、独自の視点で解決策を提示する。