読書好きな子どもに育てるには? 家庭でできる本棚活用術
子どもが本に親しむために、どんな工夫をしていますか?実は、本棚の使い方ひとつで、子どもの読書習慣や興味の幅を広げることができます。親が普段読んでいる本を子どもと共有するだけで、新しい興味のきっかけになることも。東大卒100人へのアンケートでは、多くの人が「親の読書習慣」や「家庭の本棚」に影響を受けたと答えています。
親子で本棚を共有したり、子どもの成長に合わせて本を整理することで、読書が楽しいと思える環境をつくることができます。この記事では、家庭で実践できる本棚活用術や読書環境の整え方を詳しく解説します。
※本稿は米田まりな著『東大卒収納コンサルタントが教える 子どもが自然と集中する学習空間のつくり方』( 日本能率協会マネジメントセンター)から一部抜粋・編集したものです。
親子で本棚を共有しよう
子どもは親が読書をする姿だけでなく、本棚の蔵書からも、多くのことを学びます。
私自身は、小学校3年生の時に脚本家であった祖父が亡くなり、遺品整理の中で脚本の原稿に触れたことをきっかけに、文章を書くことへの興味を持ち始めた経験があります。
前述した東京大学の卒業生100人アンケートでは、小学校時代に親が読んでいて、自分自身も読んで印象に残っている本について調査しましたが、実にさまざまなジャンルの本が挙げられましたので一例を次に紹介します。
回答者100人のうち、大半の方が何かしらの本の名前を記入し、特にマンガは多様なタイトルが並びました。
中には、「週刊誌」「レディースコミック」「ホラーサスペンス」など、「小学生の目に触れさせてもいいの?」と一見思えてしまう本を読んでいた方も。
子どもに推薦するには子どもらしい本を……と気負うことなく、マンガや雑誌も含めて「どれかに興味を持ってくれればいいか」とオープンマインドに公開することで、子どもの読書人生を変えるような1冊に出会えるかもしれません。
書棚のシェア方法としては、
・リビングに大きめのファミリーライブラリーを設けて、親子で蔵書を共有していたパターン
・兄弟で同じ子ども部屋を使っていて、本棚も共有していたパターン
・親の書斎に子どもが頻繁に質問に訪れていたパターン
など、家庭のレイアウトに合わせてさまざまでした。
本を読む子に育てたければ、まずは親自身の読書体験をオープン化していきましょう。
本は「いつ・どこで読むか」に合わせて整理しよう
本棚を親子・きょうだい間でシェアすることに加え、子ども自身の本棚を、常に余裕があり、中身もフレッシュな状態に保つことが、読書好きな子どもを育てるコツです。
本棚に並べるべき本は、「今、子ども自身に30分の時間ができた場合に、開く意志がある本」。
暇があっても開きたくない本がズラリと並んだ本棚では、近寄るのすら億劫になりますよね。
原則は学期ごとに、すべての本を棚から出して入れ替えることです。
「先学期、いつ読んだ? 今学期、いつ読む予定?」
という形で、過去の利用実績と、未来の使用予定を聞いていきます。
「今学期、すぐに読む予定!」と答える本は、意外と少ないかもしれません。
使い終わった教科書やノートを本棚に収納している場合で、「念のためとっておきたい」というものは、棚から外し、収納ボックスに詰めて押し入れへ。
次の本棚整理のタイミングまで眠らせておきましょう。
「本は本棚へ」という考え方自体も、見直しが必要です。
大切なのは「本」というカテゴリではなく、「いつ、どこで読むか」。
読む場所のすぐそばに定位置を設けたほうが、1か所の本棚に集めるよりも、読書のハードルが下がります。
参考書のうち、学校の宿題はリビングでやるのでリビング周り、塾の宿題は腰を据えて取り組むので子ども部屋の机周り。
小説はベットサイドのラックに2、3冊積んで、図鑑はソファの横。コミックはお風呂で読むので洗面所、といった形で、本を分散的に配置し、読み終わったら入れ替えるといいでしょう。
一方、「親が読ませたい本」は、子どもの本棚にしれっと並べておいても、残念ながら子どもが自発的に開くことは少ないでしょう。
こうした本は、逆に見栄えよく、リビングにディスプレイしておくことで、自然と読書に誘導できます。
『東大卒収納コンサルタントが教える 子どもが自然と集中する学習空間のつくり方』(米田まりな著/日本能率協会マネジメントセンター)
子ども部屋の整理整頓は、多くのお母さんの悩みの一つである。散らかった部屋で過ごすのは、単に不衛生・健康に悪いというだけでなく、「テストの前日に限って掃除をし始める」「机の上にいろんなものがおいてあって勉強に集中できない」という問題もあり、特に中学受験・高校受験を控えた子どもを持つお母さんたちの悩みの種にもなっている。
本書の著者は、『集中できないのは、部屋のせい』を出版し、忙しいビジネスマンでも実践できる、在宅ワークでも集中できる環境の作り方を紹介したが、受験生にとっても「集中できる部屋づくり」は重要なキーワードと言えるだろう。
しかし、中学受験を考えている親向けの書籍は「声かけ」や「接し方」について説明したものが多く、環境の整え方について言及した書籍はほとんどないうえに、子ども部屋の整理整頓についての書籍にも「集中できる」「勉強ができる」という切り口のものは見当たらない。
本書では、「小学校に入学したら学習机」「東大生はリビング学習」など、従来言われているメソッドについてロジカルに切り込むとともに、東大卒100人に対するアンケートからわかった集中できる・主体的に勉強するようになる環境の整え方を10のポイントにわけて解説。さらに、子どもの持ち物をどのように整理するかも含め、独自の視点で解決策を提示する。